ゲーム障害と診断されるのは、▽ゲームをする時間の長さや時間帯などを自分でコントロールできない▽ゲーム以外の出来事や関心事への優先度が低くなる▽学校での生活など日常生活に問題が生じてもゲームを優先する、といった状態が12カ月以上続いた場合だ。症状が重ければ、12カ月より短い期間でも同病と診断されることもある。

 ゲームのやりすぎが病気と認められることで、何が変わるのか。ゲーム障害の治療をする国立病院機構・久里浜医療センターの樋口進院長は、「政府や地方自治体は、適切な治療をする医療機関や、ゲーム障害にならないような対策を増やすような政策が、とりやすくなる」と話す。

■ゲーム障害は専門的な治療が必要

 国内ではゲームだけに限定した調査はないが、ゲームを含めたネット依存について厚生労働省の研究班が12年度に実施した調査では、中高生の約52万人が、ネット依存症の恐れがあると推計されている。

 内閣府の17年度の調査では、小~高校生の7割がネットゲームをしていた。その割合は年々、増えている。ネットを利用する時間も増えており、17年度の平均利用時間は1日159分で、14年度より約17分長かった。

 久里浜医療センターには年間約1800人がネット依存症の疑いで受診する。9割がゲームへの依存症だ。また、患者の85%が男性だ。圧倒的に若い患者が多く、20歳未満が56%、20代が31%を占める。同センターでゲーム依存症と診断された人は、朝起きられない(76%)、学校などを休む(59%)、物を壊す(51%)、家族に暴力をふるう(27%)といった問題が生じていた。

 樋口院長は、「ゲーム障害は本人の意志が弱いからやめられないのではない。これは病気であり、直すには専門的な治療が必要だということを理解してほしい」と話す。(解説/朝日新聞科学医療部・大岩ゆり)

【キーワード:世界保健機関(WHO)】
国際連合の専門機関の一つで、日本など194カ国が加盟する。「すべての人々の健康を守り、増進する」ことを目標に1948年に設立された。子どもの命を守るための取り組みや、エイズやはしかなど感染症への対策などに力を入れる。本部はスイスのジュネーブにある。

※月刊ジュニアエラ 2018年9月号より

ジュニアエラ 2018年 09 月号 [雑誌]

ジュニアエラ 2018年 09 月号 [雑誌]
著者 開く閉じる
大岩ゆり
大岩ゆり

1 2