バイデン大統領とトランプ前大統領の「代理戦争」という様相となった米中間選挙。 共和党は事前の予想よりも「苦戦」し、トランプ批判も飛び出している。2022年11月21日号の記事を紹介する。
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「トランプの惨めな夜」(ニュースサイト「Axios(アクシオス)」)を誰が予想しただろうか。その半日前まで、「バイデン『厳しい戦いだ』」というメールが、民主党陣営から支持者に届いていた。
4年に1度行われる中間選挙(上下院選と州知事選など)の投開票が11月8日(米東部時間)にあった。
通常は夜中にも大勢が判明するが、一夜明けても激戦区の当確が出てこない。注目の上下院選は、12日に上院で民主党の多数派維持が決まったが、下院の過半数は民主党なのか共和党なのか不明な状況だ。
■上院は共和・民主拮抗
下院は通常、大統領の所属政党が議席を減らす。しかも今回は共和党が圧勝で過半数を奪還すると予想されていたのに、競り合いが続く選挙区が少なくない。CNNなどの集計結果によると、上院は共和49議席、民主50議席。218議席が過半数の下院は、共和211議席、民主204議席と共和党がリードしている。
選挙に先立ち、ドナルド・トランプ氏は全米で約200人の候補者を推薦すると発表。候補者らは、トランプ氏が住むフロリダ州の自宅に詣でた。引退してしかるべき前大統領が、米メディアでは共和党のリーダーであるかのように報道され、共和党は「トランプ党」との印象を受け入れた。
対するジョー・バイデン大統領の民主党は、盤石とされた議席でさえ、投開票日直前の世論調査では共和党候補に追い上げられていた。
例えば、ニューヨーク州知事候補のキャシー・ホークル氏。前州知事がセクハラ・スキャンダルで失脚した際に副知事から昇格し、今回の知事選で「選挙で選ばれた」同州初の女性知事を目指した現職だ。ところが、リベラルの牙城(がじょう)であるニューヨーク市内でも接戦となった。