最近、日本でも数多くの新種恐竜の化石が発見されるようになった。これまでどんな恐竜が見つかっていて、どのような特徴があるのだろうか。小中学生向けニュース月刊誌「ジュニアエラ」8月号では「もっと知りたい! 恐竜最前線」を特集。最先端の恐竜研究に詳しい、恐竜くん(田中真士さん)が監修した記事を届ける。

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 日本列島は地殻変動が大きく、地震などによって地層が大きく曲がったり、断層でズタズタになったりするため、長い間、「日本では恐竜の化石は見つかりにくい」「見つかったとしても部分的なものばかり」というのが常識だった。

 しかし1989年、福井県勝山市で大規模な発掘が始まって以来、日本各地で恐竜の化石が数多く発見されるようになり、今では国際的にも通用する、学名がついた恐竜が9種類まで増えた。なかでもフクイベナートルとカムイサウルスは、全身の7、8割の化石が残る高い保存率を誇り、「全身骨格」が見られる貴重な恐竜だ。

 今年、新種に認められたヤマトサウルスは、恐竜を研究するうえで特に重要な部位といわれる下あごの骨等が見つかり、しかも今までの恐竜にはないユニークな特徴を持つことで注目されている。ヤマトサウルスは「ハドロサウルス科」のなかでも祖先に近い原始的な種で、その後の長期にわたる繁栄のカギを握ると見られている。

 日本最大の恐竜化石の産地は、富山県、石川県、福井県、岐阜県にまたがる「手取層群」といわれる地層だ。手取川の流域にあり、ジュラ紀後期から白亜紀前期にかけて約1億4000万年前に堆積した。

 特に福井県は、長年にわたる発掘調査のほか、福井県立恐竜博物館や大学などの研究機関が連携して、県全体で恐竜研究に力を入れていて、「恐竜王国」として知られている。

 また、福井県では白亜紀前期の恐竜化石が特に多く見つかっていて、これは世界的にめずらしい特徴だという。さらに、同時代の哺乳類の状態のとてもよい化石や、植物などの化石も同時に見つかっている。恐竜の周辺環境を解明するうえで、こうした化石の発見は重要な手ががりとなる。

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AERA編集部
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