今年は新学期が休校スタートとなってしまい、学習の遅れを心配する親御さんも多いと思います。しかし、そんなときこそ、配られた教科書を親子でゆっくり読んでみませんか?とくに、算数は教科の要。この1年間で学ぶことをお子さん自身が大まかでもつかんでおくと、学校がスタートとしたとき、ぐっと入りやすくなります。『AERA with Kids春号』では、公立小学校で長く教諭をつとめる杉渕鐵良先生に、小学校での学びのポイントを取材しました。

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 小学校で習う算数は、大きく分けると「計算」「数の概念」「量と測定」「図形」の四つとなります。

「計算」は、整数のたし算・ひき算から始まり、かけ算・わり算、分数・小数の計算へと続きます。6年生になると、百分率や比例・反比例なども習います。

「数の概念」は1年生で100までの数、2年生で10000までの数、3年生で1億までの数、4年生で1億を超える数(億・兆)を習います。4年生以降は、概数や素数、倍数・約数など、「数」で新しい概念も習います。

「計算は積み重ねです。たし算・ひき算がまずあって、その後にかけ算・わり算と順に進んでいきます。特に、低学年のうちに土台をつくることが非常に大切。3年生以降に算数が苦手になる子が続出するのは、1、2年生のときに土台がしっかりとつくられていないことが原因です」(杉渕先生)

 まず、計算をマスターするには、一にも二にも繰り返すこと。特に低学年のうちは、応用して考えるよりも、条件反射的に計算ができることのほうが大切です。

「1年間で終わらせるべき単元が多くなり、次々に新しいことを教えなければならない今の過密カリキュラムでは、授業内に復習の時間までしっかり確保するのは難しいといえます」(杉渕先生)

 そこで、家庭の出番です。単調になりがちな反復練習に工夫を加えて、子どもの“おもしろい!”を引き出しましょう。

「ドリルやプリントといったペーパーワークは、欲張ってやらせないことがポイント。小学校では100マス計算をやりますが、たくさんあるマスを見ただけでやる気がなくなる子どももいます。10マス計算ならわずかな時間で終わりますから、子どもも楽しく、毎日続けやすいと思います」

 杉渕先生が提唱する、「ユニット授業」は家庭でも使えます。

「子どもの集中力は5分くらいしかもちません。長時間やらせるより、5分単位の短時間、細切れで勉強させるのも、飽きさせないテクニックです」

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AERA編集部
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