「子どもに本を読んでほしいけれど、なかなか手にとってくれない……」と悩む親は多いはず。そこで、『AERA with Kids春号』(朝日新聞出版)では、子どもを熱中させる探究型の教育法が話題の宝槻泰伸(ほうつきやすのぶ)さんにインタビュー。5児の父でもある宝槻さんに、「子どもがハマった本」について教えていただきました。

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「僕が本を読み始めたきっかけは、小学生のころ、『1ページ読んだら1円のお小遣いをやる』とオヤジに言われたから。見事にオヤジの戦略に乗せられました(笑)」

 と話すのは、子どもたちの興味開発をうたう学習塾「探究学舎」代表の宝槻泰伸さんです。長男である宝槻さんを含む3人の兄弟は、“型破りなオヤジ”の教育を受けて、全員京大合格という偉業を達成。そんな宝槻さん、自身のお子さんたちにも同じ方法で本を与えているのでは!?

「とんでもない。僕は、オヤジみたいに誘導する方法はとっていないんですよ。子どもの中に、興味のタネが芽吹くのを静かに待つタイプ。子どもを日ごろからよく観察して、ハマっているものがあったら、本を与えるタイミングを逃さないようにしています」

 5人いる子どもの中で、本に一番親しんでいるのは小3の長男です。本を読むきっかけは、カブトムシやクワガタムシでした。

「長男は、幼稚園のころにカブトムシを幼虫から育て、小1のころにはクワガタムシやカブトムシがバトルする動画に夢中でした。そこで、クワガタムシやカブトムシの図鑑を与えてみたんです。知識をコレクションできる図鑑を気に入ったようで、そこからは昆虫全般→危険な生物→毒のある危険生物→『古生物大百科』へと興味のフィールドがどんどん広がりました」

 長男が現在ハマっているのは、歴史だそう。歴史は、必ずリスペクトする人物が出てくるのでハマりやすいジャンルだといいます。

「本は全体を俯瞰するのに最適なツール。一方でマニアックな情報収集はインターネット検索や動画向き。どちらがいいということではなく、まずは“何を知りたいのか”“好きなものは何か”を見つけることが大切です。本も動画もそれぞれのよい部分をうまく利用できるといいですね」

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内藤綾子
内藤綾子

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