教科化で変わるのは教える内容だけではない。通知表で道徳の欄を設けるなどして先生が評価するようになる。評価の方法は国語や算数と違い、1~5などの点数ではなく、コメントで書く。文科省は「心を数値で評価してほかの子と比べたり、入試に使ったりすることはよくない」として、学習によって伸びたところを丁寧に見て、言葉で書くことで励まし、伸ばすようにするという。

 だが、心の中を、外に現れた言葉や態度で見ることができるだろうか。そもそもどう評価すればよいのだろうか。先生たちも迷っている。

「考え、議論する道徳」を目指すなら、自分の考えを自由に述べられるようにする必要がある。しかし、「教科書でお手本が示され、先生の評価が始まれば、子どもは模範解答を書こうとするのでは」と心配する研究者もいる。(解説/朝日新聞編集委員・氏岡真弓)

※月刊ジュニアエラ 2018年6月号より

ジュニアエラ 2018年 06 月号 [雑誌]

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氏岡真弓
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