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米国防長官カギを握る…結局、軍事行動か対話か?

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AERA#北朝鮮

中林美恵子(なかばやし・みえこ)/1960年生まれ。大阪大学大学院で博士号取得。米連邦公務員として米上院予算委員会(共和党)で10年間の勤務実績(写真:本人提供)

中林美恵子(なかばやし・みえこ)/1960年生まれ。大阪大学大学院で博士号取得。米連邦公務員として米上院予算委員会(共和党)で10年間の勤務実績(写真:本人提供)

 核・ミサイル開発がますます加速する北朝鮮。予測困難な今後のシナリオを、早稲田大学教授の中林美恵子さんが鋭く分析した。

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 今も支持率が低く、自身のコア支持層への公約も果たせていないトランプ米大統領の国内政治は課題山積です。会計年度が9月末で終わるため、それまでに歳出法を議会で通し、ハリケーン被害の補正予算も組まなければなりませんが、かなりてこずっています。国内情勢から世論の目をそらすため、北朝鮮対応で得点を上げたほうがいいと思うかもしれません。いろいろな計算をしたうえで、何が自身にとって得になるかを考えるのがトランプ大統領だからです。

●報道は北朝鮮にシフト

 マティス国防長官ら米軍や国防総省の人たち、外交や国連に携わる国務省の人たちは当然ながら北朝鮮が最大の問題であると捉えています。一方で、ロス商務長官ら貿易・経済系の人は、北米自由貿易協定(NAFTA)や米韓自由貿易協定(FTA)の再交渉などを重要視していて、必ずしも北朝鮮が一番の問題ではありません。閣僚や側近は選挙で選ばれるわけではないので、専門性の核心の部分で仕事をしますが、トランプ氏は選挙で選ばれた大統領。どのような決断をするかは、国民の北朝鮮に対する感覚も反映されてきます。

 では一般の米国民はどうかというと、北朝鮮は、まだまだ遠い国の問題と捉えています。トランプ大統領になって生活がよくなったのか、公約が守られているのかということへの関心のほうが強いのです。それでも9月3日に北朝鮮が6回目の核実験をすると、それまでハリケーン被害一色だった米国メディアの報道が、一気に北朝鮮問題へとシフトしました。これで、国民の意識がどう変わるのか、非常に興味深く注視しています。

●北朝鮮と取引の可能性

 米国の最大の関心は大陸間弾道ミサイル(ICBM)開発をやめさせることでしょう。米国に届かなければ、実質的な被害は出ないからです。もし、北朝鮮がグアムなどの米領土に向けてミサイル実験をすることがあれば、世論も確実に危機感を強めます。だからこそトランプ政権は、軍事行動も選択肢だと言い続けているのです。そこまでされて何もしないということはあり得ない。そうなれば、国民感情としても理解の範囲に入ってくるということです。


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