「楽しいから始まる学び」をコンセプトに、何かを「知る」きっかけとなるような記事や動画を毎日発信している東大発の知識集団QuizKnock。メンバーの伊沢拓司さんとふくらPさんが小学校で特別な授業を繰り広げた。

 この授業は、朝日新聞出版が発行する小中学生向けのニュース月刊誌「ジュニアエラ」と子育て情報誌「AERA with Kids」、「科学漫画サバイバル」シリーズが立ち上げた、「カーボンニュートラルのサバイバル」プロジェクトの一環。オンラインイベントのYouTube動画の公開(https://www.youtube.com/watch?v=q6GMgfDeEY4 )や親子向けイベントに続き、2月6日には洗足学園小学校(神奈川県川崎市)で、小学5年生72人と一緒に地球温暖化の問題について考えた。

 授業の主な目的は、地球温暖化の原因となっている温室効果ガスが排出される量と吸収・除去される量を合わせてプラスマイナスゼロにする「カーボンニュートラル」の意味を正しく理解し、身近なことから実践する習慣を身につけて、それを家族や友だちにも伝えてもらうことだ。

 午後1時30分。ステージのある広間に集まった子どもたちを前に、伊沢さん、ふくらPさん、そして「ジュニアエラ」「AERA with Kids」編集長の鈴木顕が登壇した。子どもたちは当日まで伊沢さんやふくらPさんが来校することを知らされていなかったため、2人の姿を見るなり「えええー!」「本物だ」と大興奮。

 授業に先駆けて伊沢さんとふくらPさんがふだん実践している習慣をスクリーンで紹介。伊沢さんは「ラベルレスウォーターを選ぶようにしています!」。ゴミを減らすことができるだけでなく、このような商品を購入することが環境負荷の軽減に取り組んでいる企業の支援につながると説明した。「企業の支援」は子どもたちにとっては新鮮な視点だっただろう。

「日頃からエコバッグを使用している」というふくらPさんは、子どもたちに「エコバッグって知ってる?」とフランクに声をかけることで、積極的にコミュニケーション。子どもたちからの質問を引き出す空気をあっという間に作り上げた。

 こうして、前半にクイズの出題と解答・解説、後半に「カーボンニュートラルを実現するために、今日からできること」を様々な角度から考えるグループワークがスタートした。
 
 まず、鈴木編集長が、「カーボンニュートラルは何をすること?」「温室効果ガスの中で、特に割合が多く問題視されている物質は?」など全5問のクイズを出題。子どもたちは、ふだんの授業で使っている学習用タブレットを使って解答した。制限時間が終了するとステージ上のスクリーンに一人ひとりの答えが映し出され、そのたびに会場は大盛り上がり。

 伊沢さんは「クイズに正解するコツは問題文をよく見ること」などのアドバイスをしつつ、その正解率の高さに感心しきり。ふくらPさんも「難しいのにすごい!」と舌を巻いた。「ライフサイクルアセスメント」を記述させる難問にも、多くの子どもたちが正解。予習していたのかもしれないが、地球温暖化問題に対する理解の深さや関心の高さが浮き彫りになった。

 その後は、3、4人のチームに分かれて「カーボンニュートラルを実現するために、今日からできること」を考えるグループワークにも挑戦。伊沢さんやふくらPさん、鈴木編集長などがチームを回って児童たちの質問を聞いたりアドバイスを出したりしてサポートした。

 最後に、各チームがイチオシのプランをプレゼン。「スーパーでは賞味期限が近い手前に置いてあるものから選ぶ」「自転車に発電機をつける」「床暖房を使わずじゅうたんを敷く」など、ユニークなアイデアが飛び出した。

 全チームのプレゼンが終わると、伊沢拓司賞、ふくらP賞、そして鈴木編集長によるベストカーボンニュートラルアクション賞が発表された。

  伊沢拓司賞は「出かけるときは大きくて保温できる水筒を持っていく」と発表したチーム。伊沢さんは、「ただの水筒ではなくどんな水筒かにこだわっていたのが良い視点」と選出理由を説明した。ふくらP賞は「鉛筆が短くなったらできるだけキャップを使ってゴミを減らす」。ふくらPさんは「小学生ならではのアイデア。他のチームの発表を聞く姿勢も良く素晴らしかったです」と笑顔で話した。

 ベストカーボンニュートラルアクション賞には「エアコンではなく服装で温度調整をする。そして使わない部屋の電気は消す」というプランが選ばれた。鈴木編集長は「今回のテーマは『今日からできること』だったので、今日家に帰ったら家族と一緒にすぐ取り組めるところが良かったです」とコメントした。

  受賞したチームには、伊沢さん、ふくらPさん、鈴木編集長からそれぞれ修了証が手渡され、会場は盛大な拍手に包まれた。

「伊沢拓司賞」受賞チーム
「伊沢拓司賞」受賞チーム
「ふくらP賞」受賞チーム
「ふくらP賞」受賞チーム
「ベストカーボンニュートラルアクション賞」受賞チーム
「ベストカーボンニュートラルアクション賞」受賞チーム

 授業の後、ふくらPさんは「大切だけどあまり知られていないことを学んでもらえて良かったです。みんなの未来のことだからぜひ覚えてほしいですね」と子どもたちに伝えた。伊沢さんは「10年後、みんなが大人になった時には、環境負荷の軽減に関わる仕事をしている人が今よりもきっと増えているはずです。今のうちから学ぶことで、いろんな可能性が開けてくると思うので、ぜひ積極的に勉強していってもらいたいですね」と子どもたちの将来についても触れて、授業は盛況のうちに終了した。

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