中学受験を全力サポート 「やめる」なんて勘弁して!

 実を言うと、息子は中学受験をやめているんです。

 しかも「やめたい」と言い出したのが6年生になってから。最初は「はあ?」でした。学校の情報を集めて、いい塾やいい家庭教師の情報を集めて……親なら当たり前かもしれないけれど、全力でサポートしてきたつもりでした。それを全部ナシにするなんて勘弁してよ!と、大反対しました。

 それから半年間、「やめる・やめない」のせめぎ合いがあり、結局は受験目前になって「やめる」という決断を受け入れました。正直、キツかったです。それでも息子の意見を受け入れたのは、「私が反対しているのは単に、ここまでの私の努力を結果で証明したいだけ」と気づいたからです。息子のためじゃなくて、自分のために反対してるんじゃん……って。

 結果としては、やめてよかった。でも高校受験に向けて「これがラストチャンス」という思いはあります。義務教育じゃないので、ここでがんばるしかない。「勉強は苦手。嫌なことはしたくない」という気持ちと闘えるか、見守っていきたいです。

プレ思春期に見えた私の知らない息子の顔

 振り返れば、彼の個性みたいなものが明確になったのは、小学校4年生ぐらいだったと思います。それまではまだまだかわいくて甘えん坊で、息子のことは全部知っているような気がしていました。

 小4のとき、息子は自分で希望してオーディションを受け、映画に出演したことがありました。大人の中に交じって表現する姿を見たとき、「かわいい、幼いと思っているのは自分だけだった」と気づきました。

 私の知らない顔で大人と話し、がまんし、努力もできていた。9歳でしたが、精神面では大人に近づいていました。

 とても素晴らしい体験をさせてもらった息子ですが、いまのところ俳優業に進む予定はないみたいです。理由を聞くと、「演技は恥ずかしい」って。ええ? そういう理由なの?と、私はけっこう驚きましたけどね(笑)。

 小4ぐらいのプレ思春期って、実はものすごく変化の時期だと思います。受験するか決めたり、新しい習い事を始めたり。親はその選択や送迎に時間をとられるし、「やめたい」と言われると「やめさせていいのか」と親も迷います。本人の主体性と親の価値観のせめぎ合いですよね。その始まりの時期がプレ思春期なのかなと思います。

※「AERA with Kids 2023年春号」から一部抜粋

(取材・文/神 素子)

MEGUMIさん(撮影/YUYA TAKAHASHI)
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AERA with Kids (アエラ ウィズ キッズ) 2023年 春号 [雑誌]

朝日新聞出版

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神素子
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