2020年春から始まった、乳幼児向け番組「シナぷしゅ」(テレビ東京系列)。25分の番組の中には、英語にふれられるコーナーが設けられている。この狙いについて、現在発売中の『AERA English特別号「英語に強くなる小学校選び2021」』では番組プロデューサーに話を聞いた。

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 「テレビは子どもの発達に悪影響」。そんなイメージを覆すべく、テレビ局で働くパパやママが立ち上がった──。

 テレビ東京系列の0~2歳児向け番組「シナぷしゅ」は、これまでNHK・Eテレの独壇場だった乳幼児向け番組に、民放として初めて切り込んだ意欲作。立ち上げにあたっては制作局、アニメ局などさまざまな部署から社員が集まり「自分の子どもに見せたいと思える良質なコンテンツ」をめざして企画を練り上げた。早期英語教育に関心を持つ保護者が増えていることを受け、同番組でも英語を取り入れるコーナーを用意することになった。

 自身もバイリンガルであるプロデューサーの工藤里紗さんは、「楽しいだけで終わってしまうのではなく、子どもが英語の世界に自然になじんでいくための動線を作りたいという思いがありました。フォニックスの音を知っていると、文字を見てなんとなく発音できるようになる。乳幼児期の“正解”はわかりませんが、英語の歌に加えてフォニックスを番組に取り入れてみたいと思いました」と語る。

■肩の力を抜いて さまざまな音を楽しむ

 フォニックスのコーナーでは、1回につき四つの単語を紹介する。例えば「B」ならば、 boy ball bear beeの4語が、カラフルなアニメーションによる物語仕立てで登場する。

 工藤さんが「海外のまねではなく、日本独自のフォニックスエンタメに挑戦した」と自信を見せるそのストーリーは、どこかシュールでユーモラス。lion(ライオン)の頭に大量のレモン(lemon)が降ってきたり、壁(wall)と思った白い物体がクジラ(whale)の歯だったり、意外な展開に大人も引き込まれる。

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木下昌子
木下昌子

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