そこで2016年、ホームスクールの延長のような形で「YES International School」を自ら開校することに。

 行かせたい学校がないなら、自分でつくろうという大胆な発想。それはどこから生まれたのだろう?

■アメリカで身につけたプロジェクト遂行力

「父の転勤の関係で、私は小学校3年生のとき、アメリカの学校に転校しました。アメリカではある問題に対して、自分で考え、まとめて、発表する授業がとにかく多いんです。最近よく言われるアクティブラーニング、課題解決型学習ですね。まさにそのとき身につけた力で、学校がない、という問題を解決したというわけです」

 新たにつくった学校でも、根本には課題解決力、自分でプロジェクトを遂行する力を養うという思想があるという。

「それこそAI時代を生き抜くために必要な力ですからね。例えば、自分が勤めている会社で『あなたの仕事はAIがやることになりました』と言われたとします。そこで知識を詰め込む学習だけしてきた人は、暗記したスキルですべて解決しようと思うから、『前例がない』『さぁ困った』で終わってしまう。でも問題解決能力があれば、また何か新しいことを学んで、次のプロジェクトに挑戦しようと思えますよね」

 今後AIがどのように社会に浸透してくるかは、誰にもわからない。

「でも、『一生学び続ける力』があれば、何も怖くはないのです。そこが、子どもたちに伝えたい本質ですね」

◯竹内 薫
1960年東京都生まれ。東京大学卒。カナダ・マギル大学大学院博士課程修了。日本語と英語によるバイリンガル授業に加え、低年齢期からプログラミングも学ぶ「トライリンガル」教育を提供するスクール「YES International School」を横浜に開校。竹内さんが校長を務める。ホームスクールや不登校の子どもたちの居場所として、2018年に東京校も開校。『99.9%は仮説』(光文社新書)、『子どもが主役の学校、作りました。』(角川書店)ほか著書多数。

(文/阿部桃子)

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阿部桃子
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