また、「豊洲市場は危険」という悪い評判が広まり、商売に影響を与えるのではないかと心配する市場関係者も少なくない。都は豊洲市場の安全対策を決めたが、今後、その安全性について業者や消費者の納得が得られるかも課題になる。

 2020年にある東京五輪・パラリンピックへの影響も心配されている。築地市場の跡地は、再開発の前に、同大会で使う駐車場や幹線道路の整備が予定されているが、いったん移転を延期したために、工事日程に余裕がなくなった。同大会にかかる費用1兆3850 億円のうち、都が引き受けた6千億円をどう負担するかも今後の検討課題だ。

■突然の代表交代に疑問の声も

 地方自治体は、首長(自治体の長)が進めようとする政治を議員がチェックするしくみで成り立っている。しかし、都民ファーストの会が都議会の第1党になったことで、「知事を十分チェックできないのではないか」という声も聞かれる。リーダーである小池知事の方針に対し、都民ファーストの会の議員たちが批判的な意見を言えるのかが疑問視されているからだ。こうした懸念に配慮し、小池知事は、投開票日の翌日の7月3日に会の代表を辞任し、特別顧問となったが、突然の代表交代には疑問の声があがった。同じような指摘は選挙期間中からあったが、小池知事は「問題ない」と主張して代表を続けており、小池知事が代表だから都民ファーストの会に投票した人は多いと思われるからだ。

 小池知事はこれまで、従来の都政が進めてきた方針を見直したり、都政についての情報を積極的に公開したりする姿勢をみせ、支持を受けてきた。その方針をさらに進めると同時に、保育所に預けられない待機児童の大幅減少や海外から都内に進出する金融系企業の誘致、災害対策の充実といった昨年夏の都知事選で掲げた公約をどれだけ実行し、成果を出せるかが今後問われる。

 また、都民ファーストの会を巡っては、国会議員から連携を求める声がある。国政選挙にも候補を立てて、国会に活動範囲を広げるのかどうかも注目されている。(解説/朝日新聞社会部・岡雄一郎)

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