「ブラック部活」という言葉まで生み出した部活問題。生徒だけでなく、教師側にも大きな負担となり、社会問題となりつつある。事態を重く見た文科省は、来年にも休養日の基準をつくる方針だが、問題点もないわけではない。毎月話題になったニュースを子ども向けにやさしく解説してくれている、小中学生向けの月刊ニュースマガジン『ジュニアエラ』に掲載された、朝日新聞編集委員・中小路徹さんの解説を紹介しよう。

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「学校の部活動にしっかり休養日を設けよう」。そんな改善案を文部科学省(文科省)が6月に発表した。

 目的の一つは、教員の負担を軽くすることだ。部活顧問としての指導や試合引率などに割く時間が長く、授業の準備や生徒の個別指導に支障が出るほか、土日が休日にならず、家族と過ごす時間も取れない、と訴える声が多く出ているのだ。

 生徒たちにとっても、十分な休養日は必要だ。文科省の改善案の中では、朝練などによる睡眠不足で授業に集中できなくなる懸念や、長時間の練習によるケガといったスポーツ障害の心配が指摘されている。

 では、休養日の日数はどう設定されるのか。今から20年近く前の1997年、同じ問題を取り上げた文部省(今の文科省)の有識者会議では、「中学校の運動部では、週に2日以上の休養日。平日の練習は2、3時間程度」といった例が示された。ただ、2001年の調査では、運動部活動が週6日以上の中学校は6割を超えていた。そこで文科省は今回、まず全国の中学校の実情を把握したうえで、休養日の基準を、来年度にもつくる方針だ。

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AERA dot.編集部
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