■うんちは体からのお便り

 理化学研究所特別招聘研究員の辨野先生は、「うんちは体からのお便り。だから、大事なんだよ!」と言う。では、食べ物から、うんちはどうやってできるのだろうか?

 食べ物は、口の中でかみくだかれ唾液と混ざり、飲み込みやすい状態になる。それが食道を通って胃に入る。胃の中には胃液がたくさんある。胃は規則的な収縮を繰り返し、食べ物と胃液をしっかり混ぜて、ドロドロのおかゆ状にする。

 次に食べ物が送られる小腸は6、7メートルと、とても長い。小腸は十二指腸、空腸、回腸の三つからなる。十二指腸には、消化液(胆汁や膵液)が流れ込み、食べ物に含まれる三大栄養素(たんぱく質、炭水化物、脂肪)が分解される。次の空腸と回腸では腸液が分泌されて消化(※注2)を行う。また、消化された栄養分は主にここで吸収される。

 消化・吸収されなかった食べ物のかすは、小腸を出て大腸に入ってきた直後は、ほぼ液状だ。これが長さ約1.5メートルの大腸を通る間に水分を吸収され、だんだん固まりになっていく。また、大腸では、腸内細菌による食物繊維などの消化、それと一部の栄養素の吸収が行われる。ここで、吸収されずに残ったものがうんちになる。うんちは直腸に入り、肛門を通って外に出されるというわけだ。

 うんちは食べたものや胃や腸の働き方によって変わる。だから、うんちは体からのお便りなんだよ。

※注2)消化=体内で食べ物を吸収しやすい形に変化させること。

【キーワード:腸内細菌】
腸内にすんでいる微生物。人間の場合、大腸の中だけで腸内細菌は1千種類以上、総重量は1~1.5キログラムに達する。善玉菌と呼ばれる人間にとってよい働きをするものと、悪玉菌と呼ばれ有害物質をつくり出すものがある。さらに、善玉菌と悪玉菌のうち勢力の強いほうになびく日和見菌もある。その種類は人によってさまざまで、うんちの中の細菌を調べれば、その人の腸内の状態がわかる。

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