■私たちの自由がなくなっちゃう?

 自民党改憲草案では、憲法が保障するあらゆる自由や権利について「公益及び公の秩序に反してはならない」と変更している。これは一体どういうこと?

 例えば、テレビや新聞などに認められた「表現の自由」についても、国が適切でないと判断したものは認めないということになる。ほかにも、「基本的人権は永久に侵されない」と書かれた97条もすべて削除となっているよ。

■これまでになかった新しい権利を保障

 自民党改憲草案では、憲法ができた70年前にはなかったプライバシーや環境保全、在外国民などについての条文を加えることも検討している。

 例えば、プライバシーに関する「個人情報の不当取得や利用の禁止(19条の2)」や「環境保全の責務(25条の2)」、難民に関する「緊急事態が生じたときの、在外国民の保護(25条の3)」など。これらは今までの憲法ではっきりと規定されていなかった。

■緊急事態条項って?

 今、政府が改憲に最も意欲的なのが「緊急事態条項」の追加だ。首相が緊急事態宣言をすると、権力が内閣に集中し、いくらでもルールが変えられることになる。一部の人の判断で緊急事態はいつまでも続き、その間は選挙も行われず、国民の意見は反映されない。例えば「北朝鮮のミサイル発射の危険性」などを理由に緊急事態が半永久的に続き、9条を変えなくても戦争ができる国になる可能性もある!

 夏の選挙でも「改憲」がテーマになる。ぜひ注目していこう!

(監修/弁護士・倉持麟太郎)

※月刊ジュニアエラ 2016年5月号より

ジュニアエラ 2016年 05 月号 [雑誌]

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AERA dot.編集部
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