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今回の衆院選で男を下げた政治家といえば、民進党の前原誠司代表だろう。小池百合子・東京都知事の「排除の論理」によって、結果的に仲間を斬り捨てた形になった。償いの意味なのか、選挙中は地元選挙区にほとんど戻らず、希望の党候補者の応援行脚に力をいれている。前原陣営幹部は言う。
「地元選挙区の決起集会では、民進党の仲間に力を与えてもらうために『みなさん助けてください』と必死の形相で訴えていました。あんな前原さんははじめて見た、と驚く支援者も多かった」
だが、党内の前原包囲網は着々と進んでいる。
民進党の小川敏夫参院議員会長は12日、党所属の参院議員のほとんどは希望の党に合流しないとの見通しを示した。前原氏については「希望に行く人だ。民進党を管理するのはおかしい」と、事実上の“代表クビ宣言”まで飛び出した。
小川氏の発言には、隠れた意図もある。
民進党は、選挙前まで140億円とも言われる自己資金を保有していた。選挙関連の支出で目減りしても、残金は新党関係者にとって垂涎の的だ。民進党関係者は、希望の党がこの資金に手を突っ込んでくることを警戒している。
不穏な空気を察知したのか、小池氏も民進党内の有力者に秋波を送りはじめた。
東京都内で13日、前原氏と並んで演説した小池氏は、「排除リスト」の代表格である野田佳彦前首相が、12年に消費増税を決断したことに触れ「節目で重要な決断をして、日本の政治を大きく動かした」と持ち上げた。