夏休み明けは、登校渋りや不登校が増えやすい時期。子どもからの突然の「学校に行きたくない」というSOSに、親はどう向き合えばよいのでしょうか。発達障害のスペシャリストとして30年以上、当事者やその家族に寄り添い、『発達障害・「グレーゾーン」の子の不登校大全』(バトン社)を出版した児童精神科医・本田秀夫先生に、この時期の子どもに見られるサインや対応策を聞きました。

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「学校に行きたくない」は最終段階
親の理想を手放し、「期待値ゼロ」に

「学校に行きたくない」は最終段階

――もし夏休み明けに子どもから「学校に行きたくない」と言われた場合、親としてどう対応するのが望ましいでしょうか。

 親は、お子さんが「学校に行きたくない」と言い出したときに、それを問題の“始まり”だと思いがちです。しかし、子どもにとっては、限界を感じ、ようやくその気持ちを言葉にできた問題の“最終段階”なのです。まずは無理をさせず、いったん休ませてあげてください。そのうえで、本人がどの程度の思いで言っているのかを見極めなくてはいけません。本気でつらさを訴えている場合は、様子をうかがうのではなく、すぐに対応する必要があります。

――その見極めが、一緒に生活している親でも難しい場合がありますよね。

 見極めるには、じっくり話を聞くしかありません。初めて「行きたくない」と言ったときは、「何か嫌なことがあったの?」と理由を尋ねてみましょう。対話が広がらない場合は、無理に聞き出す必要はありません。年齢が低いお子さんだと、自分でうまく説明できない場合もあるでしょう。そのときは「とりあえず、明日は休んでみようか」と伝えてもいいと思います。多くのお子さんは「行かなきゃ」と思いながらも、「行きたくない」と言わざるを得ない事情を抱えているものです。理由も聞かずに「もうちょっと頑張ってみよう」と登校を促されることは、子どもにとって大きな精神的負担になります。だからこそ、親は子どもの事情を理解しようとする姿勢を示すことが大切です。

親の理想を手放し、「期待値ゼロ」に

――1学期から学校を休みがちな子どもも対応としては同じですか?

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高橋亜矢子
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