決められた課題をこなすだけでなく、自分が興味・関心を持っていることについてじっくりと学ぶ「探究的学び」のスタイルがいま注目されています。2022年度から、高等学校ではカリキュラムに七つの探究科目が新設され、親世代にはおなじみの「日本史A・B」「世界史A・B」といった科目名も変わっています。それぞれどんな内容なのでしょうか。大学入試の分析などを行うベネッセコーポレーション学校カンパニーの教育情報センター長の谷本祐一郎さんに聞きました。「偏差値だけに頼らない 中高一貫校選び2025」(朝日新聞出版)から紹介します。

MENU 総合的な探究の時間 (必修) 世界史探究/日本史探究(ともに選択科目) 古典探究(選択科目) 地理探究(選択科目) 理数探究基礎/理数探究(ともに選択科目)

総合的な探究の時間 (必修)

 以前から「総合的な学習の時間」がありましたが、高等学校は2022年度から「総合的な探究の時間」と名称が変わり、必修化されました。目的は「生徒一人ひとりが自己の在り方や生き方を考えながら、よりよく課題を発見し、解決していくための資質・能力を育成すること」。教科や科目の枠を飛び越えた学びの時間であり、課題解決だけでなく、課題を発見するところからの過程が重視されています。

世界史探究/日本史探究(ともに選択科目)

 歴史に関する科目は、これまで「日本史A」「日本史B」「世界史A」「世界史B」の4科目ありました。新学習指導要領のもとでは、新たに「歴史総合」(必修科目)が設けられ 、「日本史B」は「日本史探究」、「世界史B」は「世界史探究」になりました。「歴史総合」で学んだ資質や能力を活用して、専門的な視野から社会的事象等を広く探究するのが「日本史探究」「世界史探究」です。

古典探究(選択科目)

 古典は主に共通必履修科目の「言語文化」と選択科目の「古典探究」の中で扱われます。「言語文化」は日本の言語文化への理解を深める科目として目標及び内容の整合が図られており、「古典探究」は「言語文化」で育成された資質・能力のうち、伝統的な言語文化に関する理解をより深めるため新設されました。

地理探究(選択科目)

 地理に関する科目は、これまでに「地理A」と「地理B」の2科目がありましたが、新学習指導要領のもとでは「地理総合」(必修科目)と「地理探究」の2科目になります。「地理総合」は環境問題や防災、国際社会も視野に入れて、現代の地理的な諸課題を考察します。そして、「地理総合」で育んだ資質や能力を用いて、さらに専門的な視野から広く探究するのが「地理探究」です。

次のページへ理科や数学に関わる新設科目とは?
著者 開く閉じる
偏差値だけに頼らない中高一貫校選び編集部
偏差値だけに頼らない中高一貫校選び編集部
1 2