「コンビニ百里の道をゆく」は、54歳のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。
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報道でご存じの方も多いと思います。ローソンは2月6日、三菱商事、KDDIと資本業務提携契約を締結しました。KDDIはローソンへの公開買い付け(TOB)を実施し、取引完了後は三菱商事とKDDIがローソンの議決権を50%ずつ保有。共同経営パートナーとして取り組んでいくことになりました。
ローソンではコロナ禍で生活様式や価値観が変化する中「新しい便利」を目指して変革を進めてきました。例えば、店舗からのデリバリー。ウーバーイーツ、メニューなど多様なサービスと連携したオープンプラットフォームの形で、現在4千を超えるお店に導入しています。
「1万4500の30坪の各店舗がセンターになり、クイックコマースの業態を立ち上げて勝負していきたい」「リアルの店舗にテックを入れることで様々なサービスが実現できるのでは?」など未来に向けて、私たちが提供できる価値を検討している、まさにそのタイミングでした。
店舗、商品、金融、エンタメなどローソンが持つ様々なサービスをつなぐことで、もっと「新しい便利」の提供が可能になります。
KDDIは通信業ですから、「つなぐ」ことが仕事です。今回「すべてをつないでいく通信」の基盤を持つ企業とのお話をいただいたことは、「出会うべき時に、共に行く企業と出会った」と、強く思います。
もともと三菱商事とはもう20年来、そしてKDDIとも2019年の資本業務提携以来、一緒にやってきているので、深い信頼関係の土壌がありました。KDDIとのこれまでの協業の中では故・稲盛和夫さんから受け継ぐ利他の精神を感じることも多々あり、深く共感しました。
手を携えながら、これからの社会になくてはならない存在になっていけるのではないか。ワクワクしています。
◎竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長
※AERA 2024年3月18日号