中学受験は親子ともに不安になることが多いが、じつは「子どもや自分たちのことをよくわかっていない」ことが原因かもしれないという。何を、どうわかればいいのだろう。教育家の小川大介先生に、平常心を取り戻して受験に臨むための心の整え方を聞いた。AERAムック『偏差値だけに頼らない 中高一貫校選び2024』(朝日新聞出版)より抜粋して紹介する。

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 日頃多くの受験生の親から相談を受ける小川大介さんは、最近「どの学校を受けたらいいか、先生、決めてください」と言われることが増えているという。

「それだけ子どもをどう育てたらいいのかわからないという、強い不安を感じます。受験情報を集めてどんなに研究しても、子どもの中学受験が幸せなものになるとは限らないことが不安の奥底にあるからではないでしょうか」

受験とは、正解のない迷路に進むようなもの

 加えて小川さんは、コロナ禍は学校との連絡が不十分で親が孤立感を深めやすかったことや、景気や物価高などの社会や未来への不安が大きいために「少なくとも6年間は安心して子どもを過ごさせたい。学校選びで失敗できない」という気持ちが強まっているのではと分析する。

 中学受験は情報をいくら集めても正解が見つからない迷路を進むようなもの。「唯一答えがあるとしたら、子どものありのままの姿を知ること、親が自分たちのキャパシティーを知ること、さらに親子の10年後のビジョンを作ること」だと話す。

「なかでも膨大な受験情報や勉強量をどう絞るかは、多くの受験家庭の壁となって立ちはだかります。親はどうしてもわが子に『自分の足りない何か』を投影し、塾にお金をかける以上は成果を求めたくなってしまう。そんなとき『自分たちのこれまで』を振り返ることは、情報や勉強量をシェイプさせるきっかけとなることが多いのです」

 例えば夫婦二人の勉強の好き嫌いや集中力、打ち込んできたことなどを振り返ると「うちは家でバイリンガルを育てるのは無理」「こういう勉強が好きだったから子どもと一緒に学べそう」など、おのずとやり方が絞れてくる。

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船木麻里
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