30年間にわたる教育現場での指導経験から独自のメソッドを確立した、やる気スイッチグループホールディングス。TBSとタッグを組み、「新しい時代の教育」を展開

2023年6月、TBSホールディングスは、やる気スイッチグループホールディングスに出資し、連結子会社化した。日本有数のメディア・コンテンツ企業と、国内外で2200以上の教室を運営する総合教育サービス企業との連携で、期待されるシナジー効果とは? 片岡正光代表取締役副社長と執行役員3人に聞いた。

左から、株式会社やる気スイッチグループホールディングス 代表取締役副社長 片岡正光、 株式会社やる気スイッチグループ 執行役員 鈴木愛子、同執行役員 谷川恵美子、同執行役員 大塚直樹

TBSホールディングスが知育・教育事業に着手

──片岡副社長は、TBSホールディングス(以下・TBS)から、やる気スイッチグループホールディングス(以下・やる気スイッチグループ)へ出向されたと伺いました。TBSが、教育事業へ参入した経緯をお聞かせください。

片岡副社長:インターネットの急速な普及やライフスタイルの多様化により、人々のメディアとの付き合い方は大きく変化しています。TBSでは、メディア企業の強みを生かしながら、どのような改革とチャレンジをしていくべきなのかを考え、打ち出した企業方針「TBSグループVISION2030」を掲げています。その中核を成す EDGE 戦略の重点項目の一つが、知育・教育事業。2022年10月には、「学びNEXT事業部」が新設されました。教育サービスコンテンツの拡張を考える中で、興味をひかれたのがやる気スイッチグループです。

国内外13万人の学びを支える総合教育グループ

──やる気スイッチグループは、どのような企業ですか?

大塚:8つの教育ブランドを展開している、総合教育グループです。国内外で2200以上の教室を運営し、13万人の子どもの学びをサポートしています。一人ひとりが持つ“宝石(才能)”を見つけ、無限の可能性を引き出すことで、世界中の子どもたちの夢や人生を応援します。8つの教育ブランドの中でも代表的なのが、「スクールIE」「Kids Duo」「Kids Duo International」です。

やる気スイッチグループ・8つの教育ブランド。個別指導の学習塾からプログラミング教育まで、子どもの可能性を引き出す多彩なラインアップ

──それぞれどのような内容なのか、教えてください。

大塚:「スクールIE」は、全国で1100以上(2023年2月末現在)の教室を展開する個別指導塾です。独自の個性・学力診断を行い、お子様一人ひとりに最適なフルオーダーメイドの個性別指導を実践します。効率的、効果的な学習でやる気を引き出し、お子様の夢・目標の実現を目指します。

谷川:「Kids Duo」は、日本の文化と英語圏の文化、両方を身につけたグローバル人材を育てるオールイングリッシュの学童保育です。長時間の英語環境から、英語を、自然に楽しみながら身につけることができ、ネイティブやバイリンガルの講師の皆さん、また人生の先輩であるおじいちゃん世代の送迎バスドライバーなど、国籍や年代の違うダイバーシティーの世界の中で、子どもたちの成長を育みます。

鈴木:「Kids Duo International」は、国際人を育てるバイリンガル幼児園です。「英語と日本語のバイリンガル教育」「知能教育」「運動指導」の3つをカリキュラムの柱とし、国際性・自主性・社会性・協調性・思いやりの心・創造力・運動能力を養います。

──現代の親たちは、どのような教育を求めていると感じますか?

鈴木:以前は、詰め込み教育や暗記力などで受験に打ち勝つ力が求められた時代がありました。しかし現代の親たちは、自分で生きていく力や、自分で考え判断する力を求めています。未来予測が困難な「VUCA」といわれる時代の中で、将来の幸せを自らの手でつかんでほしいという願いが込められていると感じます。

谷川:そのため、やる気スイッチグループは、「自分力」というキーワードを大切にしています。自分で考え、自分で決めて、自分で行動する力です。重ねて、自分で幸せな人生を切り開く力でもあります。私たちは、この力を養う環境づくりに取り組んでいます。

8つの教育ブランドを自社開発。豊かな創造性が魅力

──TBSにとって、やる気スイッチグループの魅力とは?

片岡副社長:やる気スイッチグループは、8つの教育ブランドをすべて自社開発しており、非常に創造性豊かだと感じました。放送事業であらゆる独自コンテンツを制作してきたTBSとの親和性が高い印象を受けます。また、プログラミングや運動、英会話など、多彩な教育コンテンツを提供しているところも魅力。もちろん、教室が全国的に展開しているところも大きな強みです。

映像コンテンツを活用した教育コンテンツの拡大例

──TBSへ迎え入れた狙いを教えてください。

片岡副社長:先ほど鈴木さんも言っていたVUCAの時代には、「自ら考え、創造する力」=「クリエーティブ力」が重要になってきます。知育・教育業界においても、新たな映像コンテンツ教材の開発や、新しい技術が導入されたスクリーニングが模索されており、学びを深める映像技術の活用も求められています。そんな中で、多様な映像アーカイブや映像技術を持っていることがTBSの強み。やる気スイッチグループの教育ノウハウや顧客基盤と、TBSのクリエーティブ力やコンテンツ制作力を掛け合わせることで、新しい時代の教育を多様な形で提供できるのではと考えています。

新しい教育プラットフォームの構築を目指す

──どのような教育サービスが実現するとお考えですか?

片岡副社長:両社が保有する知見やノウハウを活用することで、新しい教育プラットフォームの構築などができると考えています。例えば、①TBSの持つJNNネットワークを活用した、やる気スイッチグループの直営教室・フランチャイズ教室運営力の強化、②TBSが保有する知育教育系アーカイブ映像や新しいコンテンツを活用した、やる気スイッチグループの教育コンテンツの拡充・拡大、③TBSの番組とのコラボや、アナウンサー・著名人のキャスティングなどです。そのほか、教育コンテンツの海外展開なども視野に入れています。

──TBSは、過去にさまざまな教育系コンテンツを生み出してきました。教育の現場に生かされるのでは。

片岡副社長:TBSは、「世界ふしぎ発見!」「どうぶつ奇想天外!」「世界遺産」など、さまざまな知的エンターテインメントを生み出し、多くの子どもたちに感動や発見を届けてきました。TBSのリソースを活用した映像コンテンツは、知的好奇心を向上させる学びにつながっていくと考えています。

多彩な映像コンテンツで、自然、文化、歴史などを学ぶ

──メディアと教育サービスの融合で、教育の可能性が広がりますね。

大塚:やる気スイッチグループは教室を全国展開していますが、地域の特色によって学習内容の偏りが生じる場合もあります。TBSは全国に系列局があるので、ネットワークを生かして各教室と連携することも可能です。多彩な映像コンテンツを活用するなどして、全国にまんべんなく幅広いサービスを提供できるのではないでしょうか。

鈴木:それ、いいですよね。多彩な映像コンテンツの活用には、私も期待を寄せています。例えば、自然や文化、歴史などの知的好奇心を育む映像を使ったバーチャル体験とか。また、テレビ局での職業体験などもできれば楽しそうです。

谷川:TBSのネットワークを生かすという意味では、日本と海外の同世代の子どもたちがコミュニケーションを取れる環境づくりもできそうだと思いませんか。日本の子どもたちが自国の文化を学び、英語で伝えることができれば、英語力はもちろん、自分で考えて判断し表現する力を養うことにもつながるでしょう。

片岡副社長:TBS側から言えば、例えば映像クリエーターの教室を開催したいとなった場合、スクールIEのプラットフォームを使って場所と生徒を確保し、短期の夏期講習を実施することなども可能だと考えています。

「TBSのネットワークとやる気スイッチグループのプラットフォームを生かして、独自の教育コンテンツを展開し世界中に届けたい」と片岡副社長(右から2人目)

子ども自ら、「やる気スイッチ」を押すためには?

──両社が協働することで、やる気スイッチを押せる子どもが増えるといいですね。

谷川:やる気スイッチは、親や先生が押すイメージがあるかもしれません。しかし、子どもが自分で押す力を身につけることが、実は大切なのです。そのために、自分はどの方向へ進むべきか、何が強いか、何にチャレンジするとワクワクできるかを知ることが、子どもにとって重要なファクターとなります。

──「やる気スイッチを、子どもが自ら押してほしい」というのは、多くの親たちの願いです。

谷川:子どもがあらゆる瞬間にワクワクドキドキする経験を重ねることで、その機会が得られると思っています。私たちが目指すのは、きっかけとなる環境づくり。そこで、TBSの持つ、子どもの好奇心を満たす映像、企画、ツール、ノウハウが活かされるのではと期待感が膨らみますね。

大塚:だれもが必ず「才能」という宝石を持っています。勉強、語学、運動能力、優しさなど、宝石は子どもによって違うので、それを探し、磨き、伸ばすことが私たちの使命です。そこからやる気と自信を引き出す作業を、TBSとやる気スイッチグループが連携し、実行できればうれしいです。

片岡副社長:やる気スイッチグループにとってのゴールは、学力向上や受験合格などの先にある、どれほど豊かな人生を歩める人になれるかということです。豊かな人間を育む教育に真摯に取り組んでいる企業姿勢を、TBSは応援したいと考えています。今後、多彩な教育コンテンツを考えて提供し、両社で歩みながら、多くの子どもたちに夢や希望、そして「自分でやる気スイッチを押す力」を育む取り組みを展開していきます。ぜひ、ご期待ください。

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【参加者プロフィール】

株式会社やる気スイッチグループホールディングス 代表取締役副社長
片岡正光
1992年慶應義塾大学卒業後、株式会社東京放送へ入社。法人営業、事業開発、経営戦略に従事する。2013年にTBSグループのCVC「TBSイノベーション・パートナーズ合同会社」を創業し、2019〜2023年まで代表を務める。2023年6月から現職。

株式会社やる気スイッチグループ​ 執行役員 教育第1事業本部 本部長 兼 スクールIEFC運営本部 運営本部長
大塚直樹
「スクールIE」を担当。スクールIEの現場経験を生かし、直営店舗のマネジメントや約1100教室のフランチャイズ店舗の事業成長を導くFC運営本部を統括。

株式会社やる気スイッチグループ 執行役員 教育第2事業本部 本部長 兼 Kids Duo運営本部 運営本部長
谷川恵美子

「Kids Duo」をはじめ、「WinBe」「i Kids Star」を担当。子ども向け英語学習プログラムの商品開発および業務提携も行う。

株式会社やる気スイッチグループ 執行役員 教育第3事業本部 本部長 兼 Kids Duo International運営本部 運営本部長
鈴木愛子
「Kids Duo International」をはじめ、「チャイルド・アイズ」「忍者ナイン」を担当。子どもの思考力を育み、保護者の子育てに寄り添う幼児教育の情報発信もしている。

提供:TBS ホールディングス