2018年のノーベル医学生理学賞は「免疫」の研究をしている本庶佑さんたちが受賞。免疫は、私たちの健康にかかわる大切な体のはたらきだ。小中学生向けの月刊ニュースマガジン『ジュニアエラ』2月号では「免疫」を特集。免疫とはどんなもので、どんなはたらきをしているのか、そのしくみを大調査している。ここでは、多くの人々の命を奪った代表的な病原体を紹介する。


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■神のたたりが原因!?
人類の歴史は、病原体が、体の中に入って増えること(感染)で起こる「感染症」との戦いの歴史ともいえる。
病原体は、はるか昔から地球上に存在し、人類とともに生きてきた。そして、人類の文明が始まったころから、人々の集まるところに現れて感染症を引き起こし、数えきれないほどの人の命を奪ってきた。
一国の歴史だけでなく、世界の歴史の流れまで変えることすらあった。
ただ、当時は原因がわからず、神のたたりなどと考えられていた。
■病原体を発見!
19世紀後半以降、科学の進歩により、細菌やウイルスといった病原体が原因であることがわかった。その結果、有効な治療法としてペストや結核などの細菌には抗生物質、天然痘やインフルエンザなどのウイルスにはワクチンが開発された。
しかし、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)やエボラウイルスといった新しい病原体などは完全な治療法がまだなく、今も多くの人が苦しんでいる。進化し続ける病原体と人類の戦いは終わっていない。
■多くの命を奪った代表的な病原体
【人類vs.病原体(1)】 <ウイルス> 天然痘
●人類が唯一、根絶に成功
人々の貿易・交流や戦争の発生とともに世界に広まった。非常に感染力が強く、かつては人類の10分の1が天然痘で死んだともいわれている。19世紀にワクチンが開発され、1980年には地上から根絶された。
[症状]
発熱のあと赤いぶつぶつが顔、腕、足を中心にでき、水ぶくれになって激しく痛む
【人類vs.病原体(2)】 <細菌> ペスト
●中世ヨーロッパで大流行
過去に3回、世界的に大流行した。14世紀のヨーロッパの大流行では人口の約3分の1が死んだ。ワクチンはない。20世紀に入り、抗生物質によって治療できるようになった。
[症状]
リンパ節が腫れて痛み、紫がかったぶつぶつができる