一方、ネットは、自分好みの情報が自動的に集まるようにできている。ツイッターは自分が「フォロー」した人から情報が入るしくみだし、フェイスブックでは自分が「いいね」ボタンを押した回数の多い友達の投稿が表示されやすくなる。検索エンジン「グーグル」も、自分の傾向に合わせた検索結果が上位に表示される(※注)。便利だし、考えの合う人と情報交換できるのは、とても居心地がいい。

 でも、その結果、世の中には多様な見方があることを忘れてしまいがちになる。似た者同士で情報交換するうちに、自分たちに都合のよいニュースを「真実」と信じ、それが事実かどうかを重視しない人が以前より増えている。こうした人の増加も、偽ニュースの拡散を後押ししている。

(※注)検索している人が誰かを特定する「ログイン」をした場合。

【世界の偽ニュース】
偽ニュース(1)
アメリカ/大統領選挙(2016年11月)
「ローマ法王がトランプ候補の指示を表明」
 ローマ・カトリック教会のフランシスコ法王がアメリカの大統領候補トランプ氏の支持を表明したという偽ニュースが16年7月に発信され、世界に衝撃を与えた。否定された後も拡散され、フェイスブックなどで100万回以上、シェアされた。この大統領選挙では多様な偽ニュースがSNSで拡散され、大方の予想を裏切るトランプ氏の勝利に影響を及ぼしたといわれる。

偽ニュース(2)
日本/(2016年5~7月ごろ)
「俳優の西田敏行さんが違法薬物を使ってまもなく逮捕される」
 人気俳優の西田敏行さんが「違法薬物を使っている」という偽ニュースが複数のウェブサイトに掲載され、たくさんの人が閲覧した。その結果、「西田敏行」と検索すると、そのサイトが上位に表示されるようになり、うわさがますます広まった。犯人は40~60代の男女3人で、いずれも自分のウェブサイトに注目を集め、読者数を増やすことで広告収入を得るのが目的だったと述べている。

NEXT偽ニュースを広めるのはどんな人?
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