英語の勉強は何歳から始めるのが正解なのか――? この問題は、専門家の間でも議論が分かれます。0歳から英語を学び始めた子どもの英語力、日本語力は、その後どうなったのか? 3年間を追った最新の調査結果を、AERA English特別号「英語に強くなる小学校選び2018」(朝日新聞出版刊)より、抜粋してお届けします。

日本語への影響(「英語に強くなる小学校選び2018」から)/子どもの英語教育をテーマにした講演会を、朝日新聞東京本社内の読者ホール(東京都中央区)で開催します
日本語への影響(「英語に強くなる小学校選び2018」から)/子どもの英語教育をテーマにした講演会を、朝日新聞東京本社内の読者ホール(東京都中央区)で開催します

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「まだ母語を話せない時期から英語を始めることで、母語の獲得に影響はないのか。そしてノンネイティブの保護者が英語で語りかけても、子が発する英語の音に問題が生じないか。この2点を主な目的として、ベネッセコーポレーションと共同で調査を続けてきました」

 乳幼児の言語獲得・発達を研究する、玉川大学の佐藤久美子教授は説明する。調査の対象は、生後5~6カ月からある英語教材を使い始めた20人と、同い年でまったくその教材をやっていない20人の子どもたちだ。満1歳、2歳、3歳時点で、英語能力や母語の獲得状況などを比較した。

 満1歳時、日本語の聞き取りは、教材をやっているかいないかによる差はなかった。一方、英語のLとRを聞き分ける力は、教材をやっている子のほうが明らかに高かった。

 なお英語教材は、読み聞かせなどで母親がかかわる機会が多い。そこで母親の英語力や教材をどう活用しているかなど、背景も解析に加えた。

「興味深いことに、母親の発音がそれほどよくない子どもでもLとRを聞き分けられていて、発音のよい母親を持つ子と変わりませんでした」(佐藤教授)

 一方で、母親が教材の絵本を読み聞かせながら出てくる単語を示したり、単語を子に繰り返させたりして工夫をしている場合では、子の聞き取り能力の高さが際立っていた。

「母親と対話しながら教材を活用したほうが効果的だということが示唆されました」(同)

 3歳時点の英語能力の調査では、0歳から教材を始めた子のほうが明らかに発音はよく、語彙力(単語数)や単語を反復する力も優れていた。教材に出てきた単語だけでなく、未知の単語もスラスラと繰り返すことができていたという。

 また、日本語の語彙力には差がなく、0歳から教材を始めたことによる悪影響は見られなかった。佐藤教授は言う。

「むしろ英語教材をやってきた子は、聞いた日本語を繰り返す力も伸びていることがわかりました。教材をやることで、音を聞き分けたり反復したりする作業記憶力が伸びて、日本語の反復力も向上した可能性があります」

(文/熊谷わこ)

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【AERA English 特別号】英語に強くなる小学校選び2018 (AERAムック)

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AERA dot.編集部
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