野村教授は、調査地点ごとに型別の割合を表す円グラフを作成。その中から駒井博士と共通する調査地点を選んで、地図の上に円グラフを置き、比較してみた。
そしてはっきりわかったのが、南北を問わず全国のほとんどの地点で、1950年前後と比べて2000年代には二紋型の割合が増え、紅型の割合が減っているということだ。
二紋型が北へ移動して分布を広げる可能性もあることから、海を隔てた離島の佐渡のデータも調べたところ、「佐渡でも明らかに二紋型が増え、紅型が減っていました」と、野村教授。
■温暖化で二紋型に有利な環境が拡大
全国的に二紋型が増え紅型が減っている理由について、「温暖化により、二紋型の繁殖により有利な環境が北のほうにも広がり、二紋型が割合を増していると考えられます」と野村教授は言う。ただし、その詳しい原因はまだわかっていないそうだ。
普段見かけるまわりの動植物にも、地球環境の変化が表れているようだ。身近な自然を根気よく見つめれば、キミたちも新たな変化を発見できるかもしれない!(協力/京都産業大学教授・野村哲郎、文/上浪春海)
<家の近くのナミテントウを調べよう!>
ナミテントウをいちばん観察しやすい時期は、本州から九州では4月中旬からゴールデンウィーク。公園の植え込みや、ユキヤナギやカエデなどの低木にナミテントウがたくさん集まる。それらをつかまえて、キミの地域の四つの型の割合を調べてみよう。友達や家族と一緒に調べるのもいいね。
【観察の方法】
・つかまえたナミテントウをペットボトルに入れて家に持ち帰る。
・冷蔵庫で冷やして活動を鈍らせる。
・1時間後、冷やした保冷剤の上にプラスチック容器を置き、そこに冷蔵庫から出したナミテントウを入れ、四つの型に分けて数を数える。
・観察が終わったら元の場所へ逃がす。
※月刊ジュニアエラ 2017年5月号より

![ジュニアエラ 2017年 05 月号 [雑誌]](https://m.media-amazon.com/images/I/61xHYsYvutL._SL500_.jpg)