欲しいモノを手に入れるために、なくてはならないお金。どんなふうに生まれ、社会のなかでどんな役割を果たしているんだろう? どんなふうにつきあっていけばいいのかな? 一緒に確かめてみよう。毎月話題になったニュースを子ども向けにやさしく解説してくれている、小中学生向けの月刊ニュースマガジン『ジュニアエラ』に掲載された、公立鳥取環境大学准教授の泉美智子さん監修の解説を紹介しよう。

泉美智子/公立鳥取環境大学准教授。ファイナンシャルプランナー、「子どもの経済教育研究室」代表として、お金のしくみについてわかりやすく解説する講演や児童書の執筆などを行っている(写真/慎芝賢)
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泉美智子/公立鳥取環境大学准教授。ファイナンシャルプランナー、「子どもの経済教育研究室」代表として、お金のしくみについてわかりやすく解説する講演や児童書の執筆などを行っている(写真/慎芝賢)

■お金は伝統工芸品

 日本のお金(貨幣)には、紙でできた紙幣(お札)と金属でできた硬貨の2種類がある。紙幣は国立印刷局で、貨幣は造幣局でつくられ、中央銀行である日本銀行を経て、全国の一般の銀行などの金融機関にわたり、みんなの手元に届くんだ。

 紙幣にも硬貨にも、ニセモノがつくられるのを防ぐため、さまざまな工夫がされ、常に新しいアイデアが採り入れられている。例えば福沢諭吉の肖像画が使われた1万円札が初めてつくられたのは1984年だけれど、このときの紙幣には、傾けると違った模様が現れるホログラムはなかった。2004年にリニューアルされたときに、初めて導入されたんだよ。

 細かい工夫を実現するには、とても高度な印刷技術が必要だ。そこで、国立印刷局には、工芸官(※注)というデザインや彫刻の専門職員がいるんだ。デザイン専門の工芸官は、紙幣のもとになる絵(原図)を、筆や色鉛筆を使って精密に描く。彫刻専門の工芸官は、原図をもとに、特殊な彫刻刀を使って、金属板に点や線を一本一本刻み込み、印刷のための原版をつくるんだ。

 長年、培われてきた伝統の工夫を受け継ぎながら、新しいアイデアを採り入れ、高度な技術でそれを実現する。お金は、日本の伝統工芸品の一つといえるんだよ。

(※注)工芸官は、紙幣だけでなく、国債や収入印紙など、国立印刷局でつくっているさまざまなものも担当している。

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AERA dot.編集部
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