■分析4:反・銃規制派vs銃規制派
銃の規制は、以前から共和党と民主党の違いとしてあげられてきた。アメリカでは銃による殺人事件が多発しているため、都会を中心に銃を規制すべきだという声が年々高まっている。一方、田舎では狩猟をする人が少なくないし、銃で自己防衛したいと考える人も多い。トランプ氏は「銃規制に反対する人」の代表として、田舎の人を中心に支持を集めた。
パックン「アメリカの憲法には『武器を持つ権利は誰にも侵すことができない』と書いてあるけれど、これは国の軍隊が小規模だった時代に、民兵の武装を想定して書かれた条文なんだ」
【アメリカを読み解くための4つの豆知識】
<2016年アメリカ大統領選挙の結果>
アメリカの大統領選挙は、「各州に割り振られた選挙人の数」の合計で決まる。たとえばフロリダ州の選挙人の数は29。州内の一般投票でどんなに接戦でも、得票数が上回った候補が29票を総取りする。このため、総得票数で勝っても、敗れることがある。今回も、総得票数はクリントン氏がトランプ氏を約300万票も上回っていた
<共和党支持に転じた「ラストベルト」>
「ラストベルト(さびついた地帯)」と呼ばれる地域は、かつては鋼業や製造業が栄える工業地帯だったが、工場の海外移転などによって衰退。ウィスコンシン、ミシガン、ペンシルベニアは民主党が連勝してきた州だったが、今回は共和党に敗れた。
<アメリカは移民の国>
アメリカ人は、先住民以外、みんな他国から移り住んできた人を祖先に持つ。人種の割合は白人62%、黒人13%、メキシコなどから来た「ヒスパニック」18%、アジア6%(2015年)。近年はヒスパニックの急増が目立つ。60年までに、白人の比率が50%以下になるという予測もある。
<人口より銃のほうが多い>
アメリカでは人口より銃の数のほうが多い。また、1日に平均で100人近くが銃で死んでいる。そのうち約6割は自殺なので、撃ち殺された人の数は1日30人以上。黒人の犠牲者のほうが白人より圧倒的に多い。
(監修/芸人、東京工業大学非常勤講師・パトリック・ハーラン)
※月刊ジュニアエラ 2017年3月号より