最近、大きな地震が起きるたびに「想定外」という言葉を耳にするようになった。地震はなぜ起きるのだろう? 毎月話題になったニュースを子ども向けにやさしく解説してくれている、小中学生向けの月刊ニュースマガジン『ジュニアエラ』10月号で、大地震を特集。知識と生きる力を身につけて、地震に備えよう。監修は、防災科学技術研究所(防災科研)主任研究員の浅野陽一さんだ。

防災科研主任研究員 浅野陽一先生/専門は地震学。全国に約2千ある地震の観測点の管理や、その記録による研究に取り組む。自ら穴を掘ったり、洞窟にもぐったりして機器を設置することも(撮影/岸本絢)
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防災科研主任研究員 浅野陽一先生/専門は地震学。全国に約2千ある地震の観測点の管理や、その記録による研究に取り組む。自ら穴を掘ったり、洞窟にもぐったりして機器を設置することも(撮影/岸本絢)

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 日本列島では、毎日、地震が起きている。浅いところで起きる地震は、活断層などが動くことで起こる「内陸型」と呼ばれる地震で、私たちが住む日本列島の地面の下で起きる。体に感じない小さな地震を含めると内陸型の地震は毎日起きていて、規模が大きくなれば大災害をもたらす。1995年の阪神・淡路大震災や今年4月に起きた熊本地震は、このタイプだ。

 より深いところで起こる地震は、陸のプレートの下に海のプレートが沈み込む「沈み込み帯」に沿って起こる地震だ。その一部は「海溝型」と呼ばれ、津波を伴うような規模の大きなものも起きる。大津波が沿岸を襲った2011年の東日本大震災の本震はこのタイプだ。

 地震には主に2種類あることを、まず押さえておこう。

 次に、短期間に大きな揺れが2度起きた熊本地震は、どんな現象だったのだろうか?

 規模の大きな地震(本震)が起きると、それより小規模の地震(余震)が本震の近くで多数発生するのが、これまで知られていた地震のパターンだ。ところが熊本地震では、4月14日のM6.5の地震の2日後にさらに規模の大きなM7.3の地震が起きた。熊本から大分まで150キロメートルという広範囲で地震活動が続いたのも特徴だ。

 これは150キロメートルもの長い断層が一度に動く地震があったわけではなく、地震による地下の力のバランスの変化が引き起こした「誘発地震」が次々に起きたと考えられる。机の端に立てた鉛筆が、くしゃみをした瞬間に落ちるように、“今にもすべりそうな断層”がわずかな力の変化で動き、ドミノ倒しのように連鎖したと考えられるんだ。

 実は余震と誘発地震を区別する明確な定義はない。でも、今回は近い場所で短期間に大きな地震が2度発生したうえに、離れた場所でも比較的大きな地震が起きた。このことからも、熊本地震では複数の誘発地震が連続して起きたとみられているんだ。

 熊本の14日のM6.5の地震は日奈久断層帯で、16日のM7.3は布田川断層帯で起きたけれど、それぞれの断層帯の一部がずれただけで、まだずれずに残っている部分があるらしい。また、二つの断層帯以外の断層も動いた可能性がある。複雑なんだ。

 まだ動いていない部分があるからには、そこもいつかは動くはず。でも、それがいつなのかはわからないんだ。

※月刊ジュニアエラ 2016年10月号より

ジュニアエラ 2016年 10 月号 [雑誌]

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AERA dot.編集部
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