「指定緊急避難場所」か「指定避難所」かは、災害による影響が比較的少ない場所であることや、生活物資の運搬がしやすい環境であることなど、法律によって条件が定められています。つまり、すべての小・中学校などの避難所がこの「指定避難所」ではないのです。
今回の熊本地震では、身を寄せた避難所が「指定避難所」かどうかで、状況が大きく異なりました。「指定避難所」に避難した人は、自治体からの物資や自衛隊からの支援を優先的に受けられましたが、同じ区内でも「指定避難所」でなかった場合は、避難した人たちが自力で食料を調達しなくてはならなかったのです。
10カ月の赤ん坊を抱えたお母さんは、避難した体育館で「ここは指定避難所ではないので、食料は届きません」と聞いたときに、目の前が真っ暗になったと言っていました。そうした避難所では、インターネットを使って助けを求めるなどして、全国からの直接支援で水や食べ物をかき集め、何とかしのいだという状況です。
■自分の命は自分で守る
みなさんも今のうちから自治体のホームページなどを見て、家の近くの避難先が「指定避難所」かどうかを、確認しておきましょう。
また、自力で避難生活を送らなくてはいけなくなった場合のために、飲み水や食料、日用品をしっかり準備しておくことも必要です。とても厳しい言い方ですが、災害が起きたらまずは「自分の命は自分で守る」ことを心がけましょう。(解説・堀潤/ジャーナリスト)
【いろいろな種類の避難場所※】
種類:指定避難所
特徴:災害により家に戻れなくなった人が一定期間生活する施設で、食事や宿泊などができる。
物資の備蓄:◯
種類:指定福祉避難所
特徴:指定避難所での生活が困難な高齢者や障害者などの避難所。食事や宿泊などができる。
物資の備蓄:○
種類:指定緊急避難場所
特徴:地震や津波など災害の種類別に指定され、緊急に避難するための場所。「一時避難所」ともいう。
物資の備蓄:×
種類:広域避難場所
特徴:大火災が発生し、延焼が拡大した場合に避難できる。大人数が収容可能な広い公園や校庭。
物資の備蓄:△
※避難場所の名称や物資の備蓄の有無は自治体により異なる場合も
※月刊ジュニアエラ 2016年7月号より