最先端の教育方法を研究する国立小の魅力は、リーズナブルな学費と、実験的かつ独自色のあるカリキュラムだ。教科担任制を採用する学校も多い。また、付属の中高への内部進学も絞られることから「エスカレーター式の私立に行って中だるみさせたくない」(野倉さん)という家庭にも支持されている。

「東大や国公立の医学部進学を視野に入れ、学力の高い国立小を選ぶ家庭は少なくありません」(野倉さん)

 入試の時期は例年11月後半~12月。10~11月初旬に考査がある私立小と併願する家庭も多い。私立小受験との違いは、考査の過程に「抽選」を採用していることだ。東京都内の国立小にはすべて抽選があるが、タイミングはさまざま。お茶の水女子大学附属小や筑波大学附属小では、受験資格を得るために試験前、入学資格を得るために合格後と2回も抽選があり、「実力だけでは突破できない狭き門」(久野さん)となっている。

 入試については、お茶の水女子大学附属小のようにペーパー課題がない学校がある一方で、筑波大学附属小のようにペーパーをはじめ、運動、制作、行動観察と「フルコース」の学校も。課題の難易度については、「志望校にもよりますが、私立対策をしてきた家庭にとっては、基礎的でやさしく感じるかもしれません」と、2人の子どもの小学校受験を経験したコラムニストの二宮未央さんは語る。

 抽選で努力が報われないこともあるため、国立小が第一志望の場合、塾に通わず考査に挑む家庭もあるという。「家庭学習だけで合格するパターンももちろんあります」と久野さん。

「ただ、家庭学習のみでは、行動観察など集団で行う考査の対策ができない面も。ペーパー学習は親子でコツコツ進め、ご家庭で準備しづらいものは夏休みごろから講座に参加する、というように塾での対策を適度に取り入れるご家庭は多いですね」(久野さん)

「国立小の場合は、対策しすぎると学校が望む『子どもらしさ』がなくなってしまう」という声も聞くが、二宮さんは「筑波大附属小のようにペーパーで難問が出る学校もあり、準備は必要です」と言う。

 いずれにしても、入試で「聞く力」「考える力」が求められているのは、私立小の受験と同じ。対策を全くしない「記念受験」では合格できないようだ。

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