■英語民間試験の中止が総合型選抜に影響
コロナ禍の影響は、高校3年生のうちに受験する英検やGTECなど英語の民間試験にも及んでいる。来年度入試で民間試験を活用する大学は多数あり、9月から願書受け付けが始まる総合型選抜(旧AO入試)に間に合わせるため、多くの受験生がこの春に受験する予定だった。
しかし、4~6月の民間試験は軒並み中止や振り替えになった。埼玉の県立高校に通う3年の女子生徒は、5月に予定されていた英検に申し込んでいたが中止となった。6月の試験に申し込んだが満席で受けられず、7月の受験に滑り込んだ。女子生徒は、高2まで「従来型」の英検を受験していたが、大学入試の日程に合わせるため、コンピューター上の問題を読む「S-CBT」という方式に変えた経緯があった。「日程の変更も重なり不安だった」と言う。7月には多くの受験生が民間試験に殺到し、特に受験者数が多い英検やGTECは会場を増設するなどして対応した。
一方、TOEFLやケンブリッジ英検など、米英に運営母体がある試験はコロナ禍にいち早く対応。両者ともオンライン受験サービスを開始し、自宅のパソコンで受験できるようにした。TOEFLのオンライン版は3月23日に公表され、現在は日本を含め、TOEFL(iBT)が受けられる国の全てで受験できる。テストを主催するETSの担当者は、「TOEFLは多くの国で大学受験に使われています。コロナのせいで滞ることがないよう、約6週間でオンライン受験を準備しました」と話す。
英語の民間試験を巡る混乱は記憶に新しい。本来なら2021年度の共通テストに導入される予定だったが、準備の遅れや公正性が問題視され、昨年11月に導入延期が急きょ決まった。
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