高校受験や大学受験と異なり、「親子二人三脚」とも言われる中学受験。思春期の入り口にさしかかっているわが子をどう支えればいいのか? AERAムック『偏差値だけに頼らない 中高一貫校選び2022』(2021年6月28日発売)では、「夕ご飯をお家で食べる中学受験」をモットーとする進学塾・シグマTECH代表の伊藤潤さんに親の心構えを聞いた。

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「中学受験は、非常に特殊な受験です。その問題点を十分理解しておかないと、親子で『負のスパイラル』に陥ってしまいます」

 そう話すのは『中学受験を魔界にしない! オンラインを駆使した中学受験2・0』(エッセンシャル出版社)の著書がある伊藤潤さんだ。その特殊性とは何だろう。

「一つ目は、高校受験や大学受験と違い、学習指導要領に縛られない点です。そのため、出題範囲が年々、広がっています。今の中学受験に必要な内容をきちんと学習しようとすると、遊ぶ時間や家族の団らん、習い事、睡眠時間が犠牲になる可能性があります」

 二つ目は、日常的に過酷な競争にさらされてしまうことだという。

「塾の中には成績優秀な子が前から順番に座る形がとられているところがあります。習熟度で分けるのと成績で座席が決まるのでは、意味が違います。その環境で刺激を受け、頑張れる家庭もありますが、多くの親子は追い立てられてしまいます」

 さらに、塾と家庭が分業で子どもの勉強を見ることが前提となっているのも中学受験ならではだ。

「合格のセオリーとして、ハイスピードのカリキュラムが一般的になりました。進学塾では小学6年生になる前に学習範囲を一通り終わらせるのです。学習量は膨大で、大量の宿題で補うことになる。親は『小学生なんだから早く寝かせたい』と思っても、子どもは『宿題が終わらない』と泣きながら勉強する。親が宿題を調整したり、時には『宿題しなくていいから早く寝なさい』と言えたりしたらいいのですが、実際には親子で不安に駆られ、時間に追われ、バトルが発生しやすくなるのです」

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神素子
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