バーチャルな世の中とリアル体験をつなげる
子どもがグンと伸びるきっかけとなるのは、「本物」に触れる体験です。大自然のなかでにおいや風を感じ、歴史的建造物を目の当たりにして重厚さを味わう……そんな実際のものに触れる体験は、机の上で得た知識を現実とつなぎ、子どもの感性や好奇心を大きく揺さぶります。
たとえば、動物図鑑を読み込んでも、動物のにおいや鳴き声までは伝わりません。しかし、実際に動物園で本物を目の前にすると、「こんなに大きいんだ!」「思ったより静かだね」と、五感をフルに使って学びが深まります。こうして得た“生きた理解”は深い気づきとなり、子どものなかに残っていきます。
体験をきっかけに学びの世界を広げるのが大切
大切なのは、「体験して終わり」にせず、体験後に親子で感想を共有することです。「何がいちばん面白かった?」などと親から問いかけることで、子どもは感じたことを言葉にします。この「自分の思い・考えを言葉にする」ことは、語彙力や表現力を鍛えるだけでなく、「次はこんなものを見てみたい」といった、さらなる学びの力を生み出します。
そして、体験をきっかけに関連する本を読んだり、家で調べたりすることで、学びの世界はどんどん広がります。そうした日々の積み重ねが、子どもの「もっと知りたい!」という探究心を育て、やがて主体的な学びへとつながっていきます。
つまり、体験は単発のイベントではなく、育ちの入り口です。入り口からさらに深く進んでいってこそ、未来を生き抜く力に変わるものなのです。
(取材・文/スリーシーズン、菅原嘉子)
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