夏休みが近づいてきました。今年の夏休み、「体験を通して子どもの非認知能力を伸ばしたい!」と思う親御さんも多いでしょう。子どもの力を伸ばすにはどうしたら? 親の心がまえやコツについて、教育社会学が専門でお茶の水女子大学教授の浜野隆さんにお話を聞きました。子育て情報誌「AERA with Kids 2025年夏号」(朝日新聞出版)から紹介します。
【表】学力の高い家庭がやっている8つの生活習慣はこちら(全9枚)今を充実させることが生きる力につながる
今の子どもたちは、かつてないスピードで変化する時代を生きています。人生100年時代が当たり前となり、社会の先行きはますます読めなくなっています。
そんな未来をたくましく生きるために必要なのが、「自分で考え、行動し、生き抜く力」です。そして、その力の土台となるのが「非認知能力」です。
非認知能力は、机の上の学びではなく、子どもが実際に体と心を動かす体験のなかで育まれていきます。自然のなかで思いきり遊んだり、はじめてのことに挑戦したりすることで、子どもは自分の世界を広げ、できることの楽しさを肌で感じます。
たとえ失敗したとしても、子どもにとっては「失敗を乗り越える」というくじけない心や、「失敗しないためにはどうすべきか」という探究心などを学ぶ貴重な体験になります。
「親が率先して楽しむ」ことが最高の応援になる
そう言うと、親はどうしても「子どもにいろいろな体験をさせたい!」という気持ちになってしまうものですが、ぜひ親が率先してさまざまな体験を楽しんでみてください。誰でもない、親自身が目の前のことに没頭し、楽しむ姿を見せることが、「どんなことにも恐れずにチャレンジしよう!」という、子どもへの最高の応援メッセージになります。
親子で小さな成功をともに喜び、失敗さえ笑って受け止める──そんな積み重ねが、子どもの挑戦心や好奇心を育み、やがては未来を切り開く力に変わっていきます。そして、こうした体験の一つひとつが、子どもの心に「親と過ごした豊かな時間」として深く刻まれ、大人になったときの心の支えとなるのです。
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