おすすめポイント

 プライベートも仕事もきっちりしている、しとーるさん。朝起きてからのうがいは5秒を3回、朝食のトーストの厚さは2センチぴったりなどなど、しとーるさんの1日を見ていると、きっちりすることの気持ちよさが伝わってきます。1年のはじまりに、しとーるさんほどは無理でも、子どもたちの生活のルーティンを改めるきっかけとして手に取ってみてほしい一冊です。

『きっちり・しとーるさん』おのりえん 作・絵(こぐま社)

 一方で、しとーるさん自身がきっちりしすぎるがゆえに、他人にも「きっちり」を求めて怖がられてしまう様子が描かれているのもとてもリアル。仕事では人が探している本を即座にパッと教えてくれて頼りになるしとーるさんですが、図書館でついおしゃべりをしてしまったり携帯電話が鳴ってしまったり「きっちり」していない人がいると、イラッとして無意識のうちに「ぽふっ」と小さなため息をついてしまうのです。その音に、まわりの人たちはドキリ。「きっちり」が頼りになって心強いときもあれば、人を息苦しくさせてしまうこともあると、物事には二面性があることをさりげなく教えてくれます。

 そんなきっちりしすぎるくらいのしとーるさんが、子猫との出会いで「きっちり」できなくなっていく様は、前半とのギャップもあっておもしろいところ。自分の思い通りにいかない子猫に振り回されながらも、子猫とのコミュニケーションを通して、しとーるさん自身が変わっていく様子に心がほっこり温まるお話です。

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