中学受験は結果でなく経験の一つとして捉えて

 最近の中学受験を見ていると多様化が進んだことを実感します。一つはご家庭の価値観。小学3、4年生から通塾し、何がなんでも難関校に入りたい、と考えるご家庭も一定数はいますが、お稽古事やクラブ活動などを重視しながら受験の準備をし、その上で届くところを受験しよう、と考えるご家庭も増えました。

 もう一つはコロナ以降、オンラインの整備が進んだことによる、勉強方法の多様化です。今までは通塾できなかった地方にお住まいの方でも受験勉強ができるようになりましたし、模試などもオンラインで受験可能なところも多くなりました。

 一方で子どもたちの「何が何でもやり抜く」という頑張り力や耐性は年々下がってきているようにも感じます。どこを目指すか、どのような受験にするか、ますます家庭の価値観が問われる時代になったと思います。

 また、「中学受験をしてよかった?」というアンケートでは、受験して「どちらかといえば悪かった」「悪かった」の声の中に「希望校に入れなかった」「自己肯定感が低くなった」という声がありますが、希望校にご縁がなくても、良い受験にすることはできますし、自己肯定感が下がってしまったのは中学受験が悪いわけではなく、周囲からの働きかけに問題があったのかと思います。また、学校との相性に関しては、こればかりは入ってみないとわかりません。

 また、中学受験の勉強内容と精神年齢がぴったり合うとも限りません。基本的に通常の11、12歳の精神年齢より上の勉強を求められるのが中学受験です。

 中学受験は必ずしも頑張りが報われる世界ではありませんが、目標に向けて一生懸命やった経験はかけがえのないものです。親御さんがきちんと振り返りができているご家庭は、目に見えない力がお子さんについていると思います。(安浪先生)

(編集/偏差値だけに頼らない 中高一貫校選び編集部)

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