年を重ねてすっぴんをさらけだしても平気だというパリジェンヌたち。素顔の魅力で勝負するために彼女たちが大切にしているのは、最新の美容医療などではなく「心のケア」だといいます。なかでも絶大な人気を誇っているのが、日本古来のエステ術である「コビドウ」。日本人でもなじみのない「コビドウ」とはどのようなものでしょうか? パリ在住の作家・藤原淳さんの著書『パリジェンヌはすっぴんがお好き』(ダイヤモンド社)からお届けします。

MENU 「按摩」から生まれた日本古来のエステ術 効果があるのは肌よりむしろ「心」

「按摩」から生まれた日本古来のエステ術

 パリジェンヌ達が今、夢中になっていることがあります。それは、日本生まれの「コビドウ」です。

「コビドウって本当に効果あるわね!」

「コビドウ、毎週やってもらってるわ」

「コビドウみたいな伝統がある日本って素晴らしい国ね!」

 そう言われるようになり、最初は相槌(あいづち)を打ちながら、心の中で「何のことだろう?」と首を傾げていた私です。ところがある時から、無視できないほどその言葉を耳にするようになり、ついに重い腰を上げて「コビドウ」について調べてみることにしました。

「KOBIDO」と呼ばれ、フランスで2015年くらいから絶大な人気を誇っているのは、間違いなく日本から来た「古美道」です。

 漢字で書かれてもピンと来ない人も多いと思います。私もそうでした。さらに調べてみると、古美道は15世紀に日本で確立された美顔術。駿河の国で二人の「按摩(あんま)」師が技を競い合った末に誕生した古美道は、当時の皇后陛下に施されていたことでも知られています。現在では、26代目の家元、望月正吾氏がその技と手法を継承し、積極的に古美道を世界に広める活動を行っているとのことです。

 つまり古美道は、「按摩」から生まれた日本古来のエステ術です。フランスでは、顔面の筋肉に直接働きかけ、収縮を促すことによって最大の引き締め効果を引き出す、究極のフェイシャル・マッサージ術として紹介されています。

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