森井さんは1日24時間を4等分し、6時間ごとに各10匹ずつのエゾマイマイとヒメマイマイの移動距離を計測した。その結果、ヒメマイマイは昼間は活動しない夜行性であるのに対し、エゾマイマイは昼も夜も活発に活動していることがわかった。


 エゾマイマイはなぜ周日行性になったのか、二つの理由が考えられると森井さんは言う。
「殻を振り回すという能力を持ったことにより、天敵のオサムシをあまり恐れず、いつでも活動できるようになったのかもしれません。あるいは、殻を振り回したり速く走って逃げたりするので、食料(落ち葉)をたくさん食べなければいけないため、昼も夜も活動しているのかもしれません。今のところ、真相はわかりませんが、いずれにしても、エゾマイマイとヒメマイマイは、同じ先祖から分かれて進化してきたと考えられる近縁種です。それなのに、両者の行動や体の大きさがどうしてこのように違ってきたのか、それも大きな謎です」
 森井さんは、これらの解明を目指して研究を続けていくそうだ。次は、どんなことがわかるのか、楽しみだ。

(文/上浪春海 画像・データ提供/弘前大学・森井悠太准教授)

ジュニアエラ 2024年6月号

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