2016年に家族とともに米ニューヨークで暮らし始めた久保さんは、現在はモンテッソーリ幼稚園の教諭として働いている。NHKアナウンサーとして活躍していたころを知る人にとっては、意外な転身にも思えるが、その背景には「言葉で子どもの世界を広げたい」という長年の夢があった。『AERA English特別号「英語に強くなる小学校選び2024」』(朝日新聞出版刊)から紹介する。過去に話題になった記事を再配信します。(この記事は2023年9月17日に配信された記事の再配信です。肩書や情報などは当時のまま)  

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 50歳になった昨年、久保純子さんはモンテッソーリ幼稚園の先生として新しい一歩を踏み出した。単なる思いつきではない。2年がかりでモンテッソーリ教師の国際資格を取得したのは9年前。子育てが一段落したら働き始めるつもりだったが、そのタイミングで世界はコロナ禍に。

「ようやく就職活動ができたのは2020年の年末でした。ありがたいことに第1志望の園に採用され、私の半分くらいの年齢の先生たちと毎日楽しく働いています」

日本にバイリンガルのモンテッソーリ教育を

 久保さんは毎朝8時前に登園し、100種類以上ある教具の準備をするのが日課だ。

「子どもたちは登園すると自分がやりたい『お仕事』を見つけ、とことん没頭するんです。その間、教師は見守るだけ。集中しているときの子どもは、幸せに満たされていて、それを見ている私の心も毎日癒やされています」

園児たちは、成長過程に応じて、独特な教具を使った「お仕事」と呼ばれる活動に取り組む。3歳から6歳までの時期は、「日常生活の練習」「感覚教育」「言語教育」「算数教育」「文化教育」の五つの分野と、それぞれのお仕事が100以上あるという。(本人写真)

 しかし、なぜ人気アナウンサーである久保さんが幼稚園の先生に? その質問に久保さんは「ずっと私の中にあるテーマなんです」と答えてくれた。原点は、父の仕事の関係で小学4年から中学1年までを過ごしたイギリスにさかのぼる。

「当時の私は、英語がまったくわからない状態でした。最初は物珍しくて集まってきた子たちも、数日で私に飽きてしまった。そこからは自分との闘いで(笑)、なんとか友だちを作ろうと香りつきの消しゴムや折り紙を持っていって、話しかけてもらうための地道な努力を続けました」

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神素子
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