いえ、本を気軽に手に取るためには、出しておく本のハードルを逆に下げることが大切なのです。

 読書習慣が身に着くには、本を楽しく読むことが大きなポイントです。それには「ラク」であることが重要。つまり、その子にとって「これはちょっとやさしいかな?」と思われる本です。こちらもコツですね。

環境が整えば、子どもは自然と本を読む

――本を出しておく場所は、リビングなど、子どもが長くいる場所がベストですよね。

 もし可能であれば、リビング以外のいろいろな場所に本を置いてみるのはどうでしょうか。

 ヨンデミーのユーザーさんにも、自宅のさまざまな場所に本を置いているというご家庭があります。リビングや子ども部屋はもちろん、確実に目に入る「テレビのまわり」など。すると、お子さんのお友達が遊びに来たとき、いっしょになって本を読んでいることもあるのだそうです。普段、そのお友達はあまり本を読まないタイプだけれど、そのお家にくると本を手にとるのです。こんなふうに、環境が整うと子どもは自分から本を読むのですね。

 もうひとつ、こちらもユーザーさんが教えてくれたのですが……。先ほど、本の「距離」を近くする、というお話をしました。そのご家庭では、本の距離を近くして、ゲームの距離を遠くしてみたのだそうです。決してゲームを禁止するのではなく、きちんと「片づける」という手順を加えたのですね。

 こういったひと手間があると「ただなんとなく」やっていたゲームも「よし、ゲームをやるか」という小さな決断が必要になります。どうしてもやりたいなら手順を踏んでゲームをすればいいけれど、それほどでないのならすぐそばにある本を読もう……そんな流れができているそうです。

 つねに目に入ること、手に取りやすい位置にあること、そしてハードルが低いこと……。家の中で、こんなポイントを意識して本を置いてみてください。きっと、子どもの手が自然に本にのびますよ!

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笹沼颯太
笹沼颯太

Yondemy(ヨンデミー)代表取締役。筑波大学附属駒場中学・高校時代に英語の多読塾で指導を受ける。東京大学経済学部経営学科に進み、3年生で中高時代のスキルを活かして友人3人と読書教育サービス「ヨンデミー」を設立。起業や会社の経営、営業、運営のすべてを「本から学びました」と語る。著書に『東大発!1万人の子どもが変わった ハマるおうち読書』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)。

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