ジェンダーバイアスはなくせない⁉
人は誰もが「まわりの人から認められたい」という気持ち(承認欲求)を持つもの。承認欲求は誰しも持つものだけど、すると、まわりの古い社会の価値観が持つ「女の子はこうすべき」「男の子はこうあるべき」といった「ジェンダーバイアスのかかった期待」に応えようとして、結果的に自分も偏見まみれになってしまう。
たとえば男女の数学の学力に差はないのに、日本では理系に進学する女子生徒が少ないのも、「女の子は理系より文系が向いている」という偏見があるためだと考えられる。本当は理系に進みたい人が「女の子は文系」と期待されて、それに合わせてしまうのは、もったいない。
ジェンダーバイアスをなくすのは難しいけれど、そうしたことに気づいたうえで、本当の自分は何を望んでいるの? 本当にその選択でいいの?と立ち止まって考えられるようになるといいね。
ジェンダーのおしつけが格差を生む
「女子は大学に行く必要はない」「女性の理想は良妻賢母(良い妻、賢い母)になること」などのジェンダーのおしつけは、女性の教育の機会、職場での昇進の機会、社会での意思決定に参加する機会などを奪い、男女間の格差を生む。
日本も昔と比べたらずいぶん格差はなくなっているものの、世界的には男女平等ランキングで146カ国中125位と、とても遅れている。政治・経済分野での男女格差が著しいことが大きな理由だ。
政治分野の指標は、①衆議院議員における女性の割合、②閣僚の女性割合、③過去50年間における女性首脳の在任期間の三つを数値化し、順位がつけられるが、日本は①②ともに約1割、③はゼロと非常に低い。経済分野でも女性管理職の割合は13・2%と低い。この低さを自覚して、社会の中のジェンダーバイアスを減らしていく努力が必要だ。
朝日新聞出版