高濱 でもそれ以降は徐々に手放していったほうがいい。そして14歳くらいからは、もう本格的に自分で悩ませなさいと。

成田 なるほど。じゃあ親のほうも10歳と14歳を節目として意識しておかないといけないですね。そうじゃないと親と子でギャップができてしまう。

高濱 一番いけないのが過干渉。自分で考えられない子にしてはいけない。

「自分で考えられる子」が子育ての指針だった

成田 ……そういえばうちの母も、子育ての指針は「自分で考えられる子」だったらしいです。母の子ども時代は抑制的な人生だったというか、それこそ親のブロックが強かったようなので。もしかしたら父と結婚したことが初めての反抗だったんじゃないかな。

高濱 そうだったんですか!

成田 それもあって父が失踪しても実家に頼ることができずに、母は一人体を張ってがんばったんだと思います。倒れたのは心身ともにパンクしちゃったからじゃないかな。母は要介護状態ですが、頭脳は明晰なんです。だから今の僕たちのことをどう思っているのかなと。聞けないですけどね。

高濱 そりゃあ、こんな立派な息子を二人も育てて誇らしいと思っていますよ。

成田 そうだといいですが……そういえば母は毎日バリバリ働きながらも、習い事の送迎もしてくれて、いっしょにバーガーを食べたりしたな。中学受験のときも自分で決めなさいと言ってくれて。父の失踪後も、バラバラになったわけでなく1対3だったから、それもつらくなかった理由だったのかも。

高濱 そうなんだよな。子育てって日常のちょっとした積み重ねで形づくられていくんですよ。親は声かけするだけでいい。一日の終わりに「良かったね」って。失敗してもケンカで負けても、大変だったけどこれも人生の糧になるね、良かったねって。それが自己肯定感を育むんです。きっとお母さんも、そうやってきたんだと思いますよ。

成田 確かに! なにごとも解釈次第でピンチはチャンスになる。僕はこれまで受験でも起業でも失敗を繰り返してきましたが、失敗して良かったことばかりでした。

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