最近は、勉強なども「動画のほうが効率いい」といった声も耳にします。でも、動画と本では情報の濃さが圧倒的に違います。動画では情報が薄くなりやすく、あるものに「特化」した情報が多いですよね。本なら、目的だけでなく、知りたいことの「背景」なども詳しく知ることができます。知識の「使い方」を含めて知ることができるのです。本でないと学べないことの方が断然多いですし、そもそも動画と本とでは、歴史も比べ物になりません。
さらに、動画は「わかったつもり」になりやすいのです。わかりやすく表現されていますが、すーっと流れてしまうのですぐに忘れてしまったり、実は理解できていなかったりすることが多いのです。その点、本なら一週間たっても覚えていることって多いものです。
「深く考える力」は、本を読んでいる子どものほうが定着しやすいですね。
……とここまでいろいろお話ししましたが、動画が一概に悪いと言っているわけではないのです。ネットも「つき合い方」が大切です。だらだら見続ける状態と、自分が知りたいことがあって副教材的に見る動画とでは話が違います。ですから逆に言うと、読書によって読む力や語彙力といった土台が身につけば、ネットも上手に活用することができるはずです。
読書は「やりたいことがやれる」力になります
――笹沼さんは、起業する際にあらゆる本を読んだそうですね。
僕は、「読書」のいちばん大事な目的に「学びの手段」があると思っています。本が読める人と読めない人とでは、大人になってから全然違うのです。
たとえば、僕自身も学生時代に起業をしました。学生時代は、塾や家庭教師のバイトの経験くらいで、「起業」するために、なにをどうしたらいいかなんてまったく見当もつきませんでした。会社で働いたこともありませんでしたし。
でも、経営者の本って、世の中に本当にたくさんあるのです。マーケティングやデザイン、組織の本も……。基礎的なところはすべて本で網羅されています。それを実践につなげて、トライ&エラーを繰り返して「これは使える」「これは使えない」と行動すればいいわけです。
次のページへ読書で身につく力とは?