毎年、秋になると発表される「ノーベル賞」。今年は本庶佑さんの医学生理学賞受賞が大きなニュースとなったが、それより少し前、よく似た名前の「イグ・ノーベル賞」という国際的な賞が発表になった。そこには、ノーベル賞とはちょっと違う、でも、ユニークで知的な刺激にあふれた世界が広がっている。毎月話題になったニュースを子ども向けにやさしく解説してくれている、小中学生向けの月刊ニュースマガジン『ジュニアエラ』に掲載された記事を紹介する。

この銅像にハトのフンがつかない理由を解明! (c)朝日新聞社
この銅像にハトのフンがつかない理由を解明! (c)朝日新聞社

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 日本人の2人に1人ががんになるといわれている。国立がん研究センターの発表によると、男女合わせて2番目に多くかかるのが大腸がん(2016年)で、がんの中で死亡数が女性は1位、男性は3位という怖い病気だ。40代以降の中高年に多いが、早期に発見して手術をすれば、治りやすい。お尻(肛門)から内視鏡という管の先にカメラを付けた器具を入れて、がんになる前段階のポリープというイボを見つけて切り取れば、発病を9割減らせるともいう。

 しかし、困ったこともある。内視鏡検査は、普通のやり方では横に寝た人のお尻から内視鏡を入れるのだが、この方法では痛みや不快と感じる人が多いのだ。

 長野県駒ケ根市の昭和伊南総合病院の堀内朗医師は、その苦痛を減らす方法を探し続け、いすに座った姿勢で内視鏡を入れると楽にできることに気づいた。自分で試して、この方法を見つけたのだ。06年に自分の体験談をアメリカの学会誌に発表したところ、功績が認められて、18年の「イグ・ノーベル賞」の医学教育賞に輝いた。

 堀内さんは授賞式会場でも内視鏡を手に、座ったままお尻から入れるしぐさをして、会場の笑いを誘った。

■日本人は12年連続! 受賞者数は世界3位!

「イグ・ノーベル賞」という名前は、「品がない」という意味の英語「イグノーブル(ignoble)」と「ノーベル賞」をかけ合わせたダジャレだ。そんな名前からもうかがえるように、この賞は、「人を笑わせ、考えさせる」科学などの研究や業績に贈られ、研究内容からユーモアが感じられるのが特徴だ。

 これまでの受賞者数は、主催国のアメリカが1位、2位がイギリス、3位が日本だ。受賞した日本人は約60人を数え、07年から12年連続で受賞者を出している。日本の受賞者が多い理由について、賞の創設者であるマーク・エイブラハムズさんは、「日本やイギリスは、社会が少し変わった人を受け入れ、愛する文化を持っているからではないか」と語っている。

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AERA編集部
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