子育てには無意識のうちにジェンダーバイアスが入り込んでしまうことがあります。好評発売中の『AERA with Kids夏号』では、ジェンダーバイアスについて、子育て中のママたちが自分たちの子育てを振り返りながら語り合いました。好評発売中の『AERA with Kids夏号』から抜粋します。

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 ジェンダーバイアスとは、ジェンダー(社会的、文化的な性差)からくるバイアス(偏見、差別)のことで、性別による固定観念や社会的評価の違い、不当な扱いなどを指します。世界経済フォーラムが発表した2021年のジェンダーギャップ指数(男女格差の指標)において日本は156カ国中120位だったというニュースは、 記憶に新しいところです。データに基づいた順位もさることながら、私たちはふだんの暮らしの中でバイアスを感じることが少なくありません。いわゆる「男は仕事、女は家庭」といった昔ながらの役割分担や、「男らしい、女らしい」とされる見た目やふるまいなど、家庭や職場、メディアなどのさまざまなシーンで違和感を持つこともあれば、反対に自らのなにげない言葉や反応で、「らしさ」にとらわれていることに気づいたり……。

 そこで、子育てをしているときに感じるジェンダーバイアスについて考えます。子ども時代に明確な「性差」はあるのか、つくられるのか、それは子どもにどう影響するのか。子育て中に感じるジェンダーバイアスについて読者にアンケートを実施し、その中から3人と、小4、年中女児の子育て中の弊誌編集長・木村恵子が、オンライン座談会をしました。

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編集部木村(以下木村):本当に今の日本は悲しいくらいジェンダーギャップが大きいですよね。アンケートでも、育児中にいろいろ感じていることが伝わってきました。みなさんは具体的にどんなことがあったか、教えていただけますか。

Aさん:2年前、サンフランシスコから日本に帰ってきて一番驚いたのは、学校行事に参加する親のほとんどが女性だったことです。むこうでは、授業参観に父母はもちろんのこと、父父、母母みたいなカップルも来ていました。ママ友だけでなくパパ友も普通にいました。男女差ということを考える機会がなかったというか。反対に日本は男女差を意識しすぎなんじゃないでしょうか。娘はサッカーをやっていたのですが、メンバーの男女の役割は女子が少し少ないかなという程度。でも日本ではサッカーがものすごく上手なスペシャルな女子がいるくらいで、大多数はいかにも女子がやりそうな習い事をしていたこととか。あとは、息子がテレビの国会中継を見ておじさんばっかりの様子に驚いていましたね。

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篠原麻子
篠原麻子

NEXT親世代からくる圧
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