その結果が、世界を揺るがすアメリカ大統領選挙。小中学生向けニュース月刊誌「ジュニアエラ」11月号では、11月3日の投票日を前に、この選挙戦で何が問われるのかを考えた。

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 4年に1度のアメリカ(米)大統領選挙が11月3日にある。共和党の現職ドナルド・トランプ大統領(74)と、オバマ前政権の副大統領で野党・民主党のジョー・バイデン氏(77)の一騎打ちだ。世界で最も影響力のある米国のトップを決める選挙で、その結果は、日本を含む世界情勢を大きく左右する。

 4年前、米報道各社の予想を覆して大統領に初当選したトランプ氏は、「米国を再び偉大な国に」を合言葉に米国第一主義を掲げた。マイク・ペンス副大統領(61)らと、自国に有利な政策を強行し、米国を世界の指導者にたらしめた国際協調路線を完全に封印。自国経済のさまたげになるとして、地球温暖化防止の各国の取り決めを定めた「パリ協定」から一方的に離脱したり、自国製品を多く買うように他国へ圧力をかけたりしてきた。

 自国第一主義の徹底は多くの国や国際機関との信頼関係に溝を生み、世界の指導者たる米国の地位を揺るがした。これに終止符を打とうとしているのがバイデン氏だ。「よりよき再建を」を合言葉に、国際社会での米国の指導力を取り戻すと主張。現政権が否定した国際合意への復帰を約束するなど、トランプ氏の政策全般に反対している。

 ただ、民主党内で大統領候補を決める過程で、バイデン氏はほかの有力な候補者の存在に苦戦した経緯がある。きわめて地味で失言癖もある。そこで副大統領候補に選んだのが、元検事で舌鋒鋭いカマラ・ハリス上院議員(55)。父はジャマイカ系黒人、母はインド系。当選すれば黒人系、アジア系、女性としても初の副大統領になる。話題性は抜群、存在感も派手だ。この「バイデン+ハリス」のセットで、多少の主張の違いはあっても反トランプで結集し、当選をめざす。

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山本大輔
山本大輔

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