小学5年生の秋は、中学受験生にとって「受難の時期」になりがち。入試までの時間をマラソンに例えると「折り返し地点」ともいえるこの時期、どうしたら受験後半をいい状態で進むことができるのでしょうか。「AERA with Kids秋号」では、小5受験生のつまずきの原因や乗り越え方について解説しています。

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 中学受験では、小学4年生から塾に通うのが一般的になっている昨近。そこから受験までの3年間のちょうど真ん中に当たるのが「小学5年生の秋」です。実はこの時期、急激に成績が落ちていく子どもが少なくありません。本人も親も理由が分からないため、心配や不安、不満でいっぱいになってしまい、精神的にも不安定になりがちです。一体何が起こっているのでしょうか。中学受験専門塾「スタジオキャンパス」代表の矢野耕平先生に聞きました。

「いちばんの原因は、5年生の秋から塾で習う単元が一気に難しくなることです。塾の宿題や暗記事項も急に増えます。それで子どもは消化不良になり、どこから手をつけたらいいのかわからなくなり、宿題も自転車操業の苦しみを感じるようになるのです」

 小5の秋以降、学習内容は「6年生の先取り」になり、本格的な受験戦争に突入します。「やることが多すぎて、やる気がダウンする」→「その様子にイライラした親が子どもを叱る」→「子どものやる気がさらにダウン。成績も下がる」→「ますます親に怒られる」といった悪循環が生まれやすくなるのです。

 しかも入試本番は1年以上も先のこと。6年生に比べれば子どもたちにまだ危機感はありません。志望校が決まっていない子もいます。明確な目標がないからこそ、受験勉強を「させられている感」が強くなり、「ただ勉強しているのがつらい」と感じてしまいます。

 では一体どのようにして、この時期を乗り越えたらよいのでしょうか。矢野先生に以下の3つのアプローチを紹介してもらいました。

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AERA編集部
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