共働き家庭の増加から、私立小学校でも放課後の小学生を預かるアフタースクール(学童保育)を設ける動きが広がっている。魅力的なプログラムをそろえるところもあり、学校選びの判断材料の一つにもなりつつある。「AERA English特別号『英語に強くなる小学校選び2019』」では、あまり「共働き」のイメージのない聖心女子学院(東京都港区)のアフタースクールを取材。その理念や特徴とは。
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ただいまー! 元気な声とともにドアが開いた。一足先に授業が終わった1、2年生たちは、ランドセルをロッカーにしまう時間も惜しむ勢いで「あのね、今日ね」とスタッフに話しかける。それでも数分すれば、勉強道具を抱えて隣の部屋で自習を始める。「まず学習、終わったら遊びの時間」。そんな習慣が、自然と身についているのだ。
ここは、聖心女子学院初等科のアフタースクール「ジョアニークラブ」。初等科とは別棟の教室を利用し、放課後の居場所を提供している。登録者は350人、レギュラーで通う子どもたちは20人以上だ。
「聖心に学童?」と意外に感じる読者もいるかもしれないが、「そう思われることのほうが、意外です」と大山江理子校長は笑う。
「本校の教育理念は、社会に貢献する女性の育成です。理念は変わりませんが、実際の女性の姿は、時代によって変化します。現在、さまざまな場所で卒業生や保護者が活躍しています。卒業生が子どもを持ち、母校に戻ってきたときにサポート態勢がなくては困りますよね」
ちなみに「ジョアニー」とは、学院の創立者が生まれたフランスの町の名だという。
「創立者、聖マグダレナ・ソフィア・バラの子ども時代のように豊かで楽しい時間を過ごしてほしくて名付けました」
大山校長がこだわったのは、「静けさの中での学習」と「自由な遊び」だ。英会話やピアノといった、おけいこ事のカリキュラムは取り入れていない。
「おけいこ事は、本来ご家庭の考えで進めるべきもの。ここでは学校生活とはまた違った楽しい時間を、異年齢の友人たちと穏やかに過ごしてほしいと思います」
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