春から勉強に力を入れるために、生活習慣を整えていきたい時期ですね。成績アップを狙うなら、勉強方法だけでなく「生活習慣」にも工夫が必要です。特に脳によいとされる、3つの生活習慣とポイントを脳医学者の瀧靖之先生に聞きました。小中学生向けニュース月刊誌『ジュニアエラ2月号』(朝日新聞出版)からお届けします。
【表】学力の高い家庭がやっている生活習慣はこちら学習内容は「睡眠中」に脳に定着する
1)睡眠
睡眠には日中に記憶したこと(学習や経験)を、脳に定着させる重要な働きがあります。脳の成長にも十分な睡眠は欠かせません。最新の脳画像の解析からも、よく眠る人は海馬の体積が大きく、基本的な記憶力も優れていることが判明しつつあります。
1日の適正な睡眠時間の目安は6~13歳は9~11時間、14~17歳は8~10時間、大人は7~9時間といわれています。勉強時間を増やすために、睡眠時間を削るのは逆効果です。たとえ自分では睡眠不足と感じていなくても、心身に大きなストレスがかかり、脳にも悪影響を与えてしまいます。
勉強する「順番」も意識してみよう
脳には「寝る直前に覚えたものを記憶に残しやすい」という特性があります。そのため、寝る前に暗記学習をして、覚えたらすぐに寝ると、より記憶が定着しやすくなります。せっかく暗記をしても、寝る前にほかの情報が入ると、記憶が入り交じる「かく乱」が起きて、定着しにくくなります。
例えば休日の場合、勉強する順番は日中に計算・思考・読解などの考える科目を、寝る前に暗記科目を行い、終わったすぐに寝るのが効果的です。
学力と関係が深い「朝食」は、食べる内容にも注意
2) 朝食
脳は体重の2%の重さなのに、一日に必要なエネルギーの約20%も消費し、睡眠中も消費し続けています。朝は脳が空腹状態なので、朝食は必ずとりましょう。「朝食を毎日食べる子どもは、食べない子どもに比べて学力が高い」というデータもあります。
食べる内容については、菓子パンだけよりもご飯を中心にした栄養バランスのよい献立のほうがエネルギーが長時間持続して、日中の脳が働きやすくなります。
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