小学生の学習場所として定番となっているリビング・ダイニング学習。でもいざやってみると親子ともに満足、というわけにはいかないようです。新学期を迎えるこの時期、わが子にぴったりの学習環境について考えてみませんか? 『AERA with Kids 春号』では、「進化系リビング学習の事例集」を大特集。「子育ての便利家電」や、「ママ・コミュニケーション」「子どものストレス注意報」などについても取材しています。その中から、リビング学習の落とし穴に関する記事を紹介します。
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小学生がいる親300人に勉強場所に関するアンケートをとったところ、「子どもがリビング・ダイニングで学習する」と答えた人は、全体の8割近くに上りました。
しかし「テーブルが片付かない」(54.9%)、「きょうだいで遊んだりケンカになったりする」(37.7%)、「食事が出しにくい」(33.7%)など、リビング・ダイニング学習だからこその悩みがうかがえる結果が出ています。
住居学の立場から、住まいと子どもの成長の関係を研究している、静岡大学名誉教授で工学博士の外山知徳先生は「親から声掛けがしやすく、子どもも親の存在が近くて安心できることからリビング学習は、低学年ほどメリットが多い」と話します。たしかに低学年のうちは、みんなのいるリビングのほうが落ち着くし、何かわからなかったことがあればすぐにお母さんに聞けるなどいい面が多いように感じます。
しかし一方で「リビング学習のデメリットもあります」と、子どもの教育に詳しい親野智可等先生は話します。
「リビング学習は親子の距離が近い反面、叱る回数が増えるとやる気をそいでしまいます。ほかにもリビング・ダイニングは勉強仕様になっていないので、姿勢や視力の心配が出ることもあります」
そうしたデメリットを知ったうえで、家具を調整したり声掛けに気を付けたりするなどの配慮があれば、リビング学習は快適な学習環境に。子どもが使いやすいかどうかを聞いたり、動線が悪くないかを観察しながら家具の位置を整えたりすることも大切です。また、見守る側も、子どもが勉強していると気は本人に任せるなど、ちょっとした心がけを意識することでリビング学習の効果が高まってくると言えます。
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